2015 Fiscal Year Research-status Report
SNP情報を利用した改良目標型選抜法の開発と豚における育種効率の検証
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15K07701
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 正寛 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70370658)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ゲノム関係行列 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノムワイドのSNP情報を利用した選抜(ゲノム選抜)は、乳牛において米国を中心に実用化の方向に動いている。ゲノム選抜では膨大なSNP情報を利用するため、個体数が10万頭以上になると、既存のコンピュータでは容量や演算時間に限界があり、継代記録を何反復も発生させて結果を得るモンテカルロ法によるコンピュータシミュレーションへの利用は困難である。 そこで、種々の演算アルゴリズムの改良等、SNP情報を用いたゲノム関係行列の逆行列を算出するための効率的な演算手法と逆行列の作成アルゴリズムについて検討した。プログラミング言語はFORTRAN95とし、コンパイラの影響を調べるため、2社から市販・提供されている異なるコンパイラを用いた。 行列同士の積の演算時間の短縮は、分割法による逆行列の計算に有効である。正方行列の積の計算は、行列のサイズNが2倍になると、演算時間が約8倍になる。N=5000のとき、最も演算時間の短いJKI型を用いると、A社のコンパイラで133秒、B社のコンパイラで596秒を要した。この演算時間をさらに短くする新たな方法を考案したところ、A社のコンパイラでは画期的な効果が得られた。 ガウスの消去法による演算時間を測定したところ、ランクが5000のとき40分弱、ランクが10000のとき約6時間弱を要した。また、コンパイラの違いは演算時間にほとんど影響を与えなかった。ただし、あとからプログラムに改良の余地のあることがわかったため、演算時間はこれよりももう少し短くなることが予想される。計算に用いた行列は疎度0の密行列であったが、すべての要素を格納するガウスの消去法を用いる場合、行列の疎度は演算時間に影響を与えないと考えられる。極端な場合、対角行列はピボット選択による行(列)の入れ替えがないだけで、疎度0の密行列とほぼ同じだけの演算時間を必要とすると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた以外にも分割法を用いた逆行列の計算において、分割の大きさと演算時間との関係を明らかにしており、現在までの研究の達成度は、当初の計画通り順調である。今後、この方法によるゲノム関係行列の逆行列を制限付きBLUP法に組み込むため、汎用性のある逆行列の算出プログラムを完成させる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発した改良目標型選抜法に、本課題で開発したSNP情報を利用したゲノム関係行列の逆行列を組み込んだ改良目標型選抜法サブルーチン副プログラムの開発に着手する。選抜候補個体の中から次世代の種畜を選抜するための改良目標型選抜法プログラムは、(1)Quaasら(1976)が提唱した制限付きBLUP法、(2)Satoh(2004)が提唱した制限付きBLUP法,、(3)改良目標から経済的重み付け値を逆算する方法(Satohら, 2000)、(4)線形計画法を適用した交配組み合わせ法(佐藤, 2007)の4種類の選抜法に対応するものとする。 また、平成29年度までに、豚の親世代(第2世代)および子世代(第3世代)における経済形質の記録、血縁情報およびSNP情報を収集する。SNP情報を利用した場合と利用しない場合において、シミュレーションプログラムにより、改良目標型選抜法による選抜反応や近交度の上昇率等を比較し、それぞれの得失を明らかにする。さらに、SNP情報は①腹内子豚から選抜候補豚を選抜する場合と、②選抜候補豚から種豚を選抜する2通りの利用法が考えられる。そこで、コンピュータシミュレーションにより両者を比較し、効率的な利用法を明らかにする。加えて、収集した豚の3世代にわたる継代記録とSNP情報を用いて、SNP情報を利用した場合と利用しない場合において改良目標型選抜法により仮想選抜を行ったときの改良効果を、子世代(第3世代)の能力によって比較検証する。
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Research Products
(2 results)