2016 Fiscal Year Research-status Report
SNP情報を利用した改良目標型選抜法の開発と豚における育種効率の検証
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15K07701
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 正寛 東北大学, 農学研究科, 教授 (70370658)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 制限付き選抜 / ゲノム関係行列 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ゲノムワイドのSNP情報を利用した選抜(ゲノム選抜)は、乳牛を中心に実用化の方向に動いており、豚においても実用化に向けた研究が行われるようになってきた。ゲノム選抜には、ベイズ法を利用した方法とゲノム関係行列を利用する方法がある。いずれの方法も膨大なSNP情報を利用するため、演算の制約がある。特に、個体数が10万頭以上になると、既存のコンピューターでは容量や演算時間に限界があり、継代記録を何反復も発生させて結果を得るモンテカルロ法によるコンピュータシミュレーションへの利用は困難である。 本研究では、まず種々の演算アルゴリズムの改良等、SNP情報を用いたゲノム関係行列の逆行列を算出するための効率的な演算手法と効率的な逆行列の作成アルゴリズムについて検討した。その結果、ガウスの消去法の演算時間は、当然行列のランクによって異なるものの、最も効率的に演算できるポイントのあることが明らかとなった。 次に、分割法による逆行列の算出法について検討した結果、元の行列がメモリに入りきらないような蜜行列の場合や対称行列の場合に有効であることが明らかとなった。これらの特性はゲノム関係行列に当てはまることから、分割法を用いて混合モデルを解くプログラムを開発することとした。 そこで、改良目標型選抜法に、本課題で検討した分割法によりSNP情報を利用したゲノム関係行列の逆行列を組み込んだ改良目標型選抜法サブルーチン副プログラムの開発に着手した。現在、プログラミングの途中であり、複数の選抜法に対応できるような汎用性のあるプログラムを開発中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、現在までの研究の達成度は、ほぼ当初の計画通り順調である。今後、この方法によるゲノム関係行列の逆行列を制限付きBLUP法に組み込むため、汎用性のある制限付きゲノム育種価を算出するプログラムを完成させる。
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Strategy for Future Research Activity |
SNP情報を利用したゲノム関係行列の逆行列を組み込んだ改良目標型選抜法サブルーチン副プログラムを開発する。選抜候補個体の中から次世代の種畜を選抜するための改良目標型選抜法プログラムは、(1)Quaasら(1976)が提唱した制限付きBLUP法、(2)Satoh(2004)が提唱した制限付きBLUP法,、(3)改良目標から経済的重み付け値を逆算する方法(Satohら, 2000)、(4)線形計画法を適用した交配組み合わせ法(佐藤, 2007)の4種類の選抜法に対応するものとする。 また、平成29年度までに、豚の親世代(第2世代)および子世代(第3世代)における経済形質の記録、血縁情報およびSNP情報を収集する。SNP情報を利用した場合と利用しない場合において、シミュレーションプログラムにより、改良目標型選抜法による選抜反応や近交度の上昇率等を比較し、それぞれの得失を明らかにする。さらに、SNP情報は①腹内子豚から選抜候補豚を選抜する場合と、②選抜候補豚から種豚を選抜する2通りの利用法が考えられる。そこで、コンピュータシミュレーションにより両者を比較し、効率的な利用法を明らかにする。加えて、収集した豚の3世代にわたる継代記録とSNP情報を用いて、SNP情報を利用した場合と利用しない場合において改良目標型選抜法により仮想選抜を行ったときの改良効果を、子世代(第3世代)の能力によって比較検証する。
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Research Products
(1 results)