2015 Fiscal Year Research-status Report
クドア食中毒の迅速発症に免疫介在性機序が関与している可能性の実験的検証
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15K07722
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
佐藤 宏 山口大学, 共同獣医学部, 教授 (90211945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 哲矢 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (40431837)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | クドア食中毒 / 市販海産魚 / Kudoa septempunctata / Kudoa parathyrsites / Kudoa pleurogrammi / Kudoa shiomitsui / Kudoa iwatai / Kudoa trachuri |
Outline of Annual Research Achievements |
クドア食中毒は、原因食(生鮮なクドア感染魚)喫食後5時間前後で下痢・嘔吐が発症し、極めて潜伏時間が短い。この要因として、発症には免疫機序が関わるのか否かを明らかにするのが本研究の最終目的である。日常的な海産魚喫食による免疫感作が基盤にあり、一定の摂食胞子数閾値を越えた免疫賦活化が劇的な発症の機序ではないかと仮説を設け、その検証を実験モデルを用いて行う予定にしている。本研究の実施にあたっては、クドア胞子の安定した入手が不可欠であることから、初年度は、20余種の市販魚についてクドア感染状況を調査した。日本海産マアジからKudoa trachuri、瀬戸内海産マゴチからKudoa iwatai、メカジキ類(西太平洋産ならびにインド洋産メカジキ、西太平洋産バショウカジキ)からKudoa musculoliquefaciens、オホーツク海産ホッケおよびベーリング海産シマホッケからKudoa pleurogrammi、カワハギ類(日本近海産のカワハギやウマヅラハギ)からKudoa septempunctata、Kudoa thyrsites、Kudoa shiomitsui、Kudoa parathyrsites、西太平洋産タカノハダイからKudoa sp.、有明海産ハゼクチから2種のKudoa spp.が確認された。これらの多くは新宿主記録もしくは新種記録(K. pleurogrammi、K. parathyrsites)であった。また、カワハギ類からヒラメと共通する3種のクドア(形態学的同定とともにDNA塩基配列でも確認)が今回検出されたことは特に注目された。これまで感染状況が不明であった海産魚も含め、日常的に喫食する食用魚に高率にクドア胞子の感染があることから、一般的な日本人においてクドアに対する免疫感作は相応な頻度で起こっていると推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験計画では、初年度からin vitroおよびin vivoでのクドア胞子原形質細胞と哺乳類細胞との相互作用を観察する予定であったが、まだ本格的に着手できていない。初年度の研究成果を受けて、クドア感染魚の確保が定常的に行える態勢をつくり、解析を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画の実施に努める。大きな当面する問題としては、実験動物飼育施設のごく一般的な、小規模の利用についても大きな受益者負担金を払う提案が部局内で浮上してきた。当初の計画時にはまったく想定していなかったため、この負担金の支払い資金について考えなくてはならない。今回の科研費でカバーできる金額ではないため、他の外部資金の獲得を図っている。実験動物の予定に沿った使用状況ができれば、計画にしたがって実験を進めていく。
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Research Products
(7 results)