2016 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of a role of raccoons as reservoir in influenza A virus infection
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15K07737
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
今井 邦俊 帯広畜産大学, 動物・食品検査診断センター, 教授 (70374767)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アライグマ / インフルエンザウイルス / 野生動物 / 人獣共通感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
北海道を含む全国でアライグマの生息数が激増しているが、アライグマは容易に人や家畜のエリアに侵入できるためにアライグマ固有の病原体や他の野生動物の病原体あるいは人や家畜の病原体を保有・伝播する病原巣になる可能性が指摘されている。病原体の中でもウイルスは、特に感染・伝播力が強く、野生動物由来の多くの人獣共通感染症や家畜由来感染症の発生に関与している。 本研究では、代表的な人獣共通感染症であるinfluenza A virusの北海道のアライグマにおける感染状況について、これまでの知見に加えて新たな科学的なデータを蓄積し、アライグマの病原巣としての役割と公衆衛生上の意義を明らかにすると共に、アライグマ媒介性感染症の予防対策を確立するための知見を得ることを目的とする。 現在までに市町村やハンターの協力をえて、計239頭のアライグマを捕獲し、捕獲地、日齢、性別、食性などの疫学情報を収集した。インフルエンザウイルス抗体の検出を行なうために、ELISAを構築し抗体検出を行なった。その結果、アライグマの抗体陰性血清を使用できないために、陽性・陰性のカットオフ値の設定が困難であるが、非常にOD値が高い血清が複数認められた。今後、中和試験等を実施し、結果の確認と感染したウイルスの抗原亜型の確定を実施する予定である。4頭のアライグマの鼻腔あるいは直腸スワブからMあるいはNP遺伝子が検出されたが、遺伝子の系統樹解析からH1もしくはH3亜型influenza A virusと近縁であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.市町村やハンターの協力をえて、昨年より106頭も多い計239頭のアライグマの研究材料検体が入手出来た。 2.抗体スクリーニングに使用可能な検査法(ELISA)が確立できた。その結果、抗体陽性個体の検出に成功した。 3.アライグマから検出されたウイルス遺伝子の解析に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き下記の項目について研究を進める。1.アライグマの捕獲と研究材料の採取を継続し、鼻腔・直腸スワブからウイルス分離やウイルス遺伝子の検出を行ない、感染状況を明らかにする。2.検出されたウイルス遺伝子サンプルを用いて全塩基配列を決定し、アライグマに感染したウイルスについて分子疫学的解析を行ない、感染状況を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初の予定額よりも、消耗品の価格が安く済んだために、6,299円の残額が生じた。今年度の計画は概ね順調に実施されたことから、次年度に残額を使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の計画を実施するために、物品・消耗品の購入に当てる。
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