2016 Fiscal Year Research-status Report
黒毛和種子牛の呼吸器粘膜免疫におけるγδT細胞の機能の解明
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15K07748
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
大塚 浩通 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (40327458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 一哉 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (60405660)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 子牛 / γδT細胞 / 呼吸器粘膜 / 誘導組織 / サイトカイン / リンフォイドケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
1.幼齢牛の呼吸器組織におけるγδT細胞の分布様式の解明のため、子牛の鼻咽頭における免疫細胞(リンパ球、形質細胞)の動態の組織学的な評価を実施した。その結果、健常子牛では、(1)鼻腔粘膜から鼻咽頭領域に移行するにしたがって粘膜上皮は絨毛状構造を呈し、その程度は喉頭に近づくに伴ってより顕著となること、(2)粘膜下には粘膜上皮へ開口する腺組織が存在しており、鼻腔側では漿液腺が多く、喉頭に近づくにつれて粘液腺の比率が高くなり、また、腺小葉の大きさが増大する、(3)上皮層、粘膜固有層ならびに腺小葉内にはリンパ球(腺小葉内には形質細胞も散見)が分布し、粘膜固有層における分布細胞数は喉頭に近づくにつれて増加する、ことが示された。しかし、粘膜組織におけるγδT細胞の染色方法が安定せず、現在もなお検証中であり、鼻腔粘膜から鼻咽頭領域におけるγδT細胞の分布様式については、次年度の課題となった。 2.健康な黒毛和種子牛の呼吸器粘膜組織に分布するγδT細胞のリンフォイドケモカイン・サイトカイン産生能の解析を目指したが、組織での分布様式の解明が進まなかったことから、γδT細胞の分離と免疫因子の解析に至らなかった。そこで、29年度に実施を考えていた黒毛和種を対象とした鼻腔への粘膜ワクチン接種による免疫応答に関する基礎試験の実施を先行した。Bovine Herpesvirus type(BHV)-1ウイルスを含む鼻腔粘膜へのワクチンを子牛の鼻腔内に噴霧し、その後、注射型のBHV-1生ワクチンを接種したところ、BHV-1の中和抗体価が上昇した。このことから牛の鼻腔内に存在する免疫誘導組織への粘膜ワクチンによってホーミングが成立し、抗体産生を誘導できることが示された。この成果を基軸に、次年度に予定していた鼻腔粘膜免疫によるγδT細胞の反応を観察への発展が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年の達成度として、組織学的に子牛の鼻咽頭領域において免疫誘導組織の分布が疑われ、且つ抗原暴露による免疫誘導が見られたことは、目標の一部の到達を期待するものと考えられる。しかし、組織の免疫染色の解析方法を安定させることが出来なかったため、γδT細胞の分布様式を明らかにするに至らなかった。これにともない呼吸器粘膜におけるγδT細胞のリンフォイドケモカイン・サイトカイン産生能を解析することが出来なかった。 一方、29年度に予定していた鼻腔への粘膜ワクチンに関する応答性の解明に関して先行して着手したことから、速やかに次年度の生体実験に移行することが出来ると考える。最終年度である本年は目標としていた研究内容を達成する。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は28年度に達成できなかった子牛の呼吸器粘膜組織におけるγδT細胞の組織分布様式の解明とγδT細胞の免疫因子の解析を実施するとともに、本年の到達目標である粘膜ワクチン接種後のγδT細胞のリンフォイドケモカインファミリーのリガンドとレセプターの動態を明らかにして呼吸器粘膜組織におけるγδT細胞の役割の解明に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
実験方法の確立が計画通りに進まなかった
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も実験方法の調整を実施する
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Research Products
(3 results)