2016 Fiscal Year Research-status Report
鳥類精子の受精機構分子基盤における膜ラフトマイクロドメインの機能的役割
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15K07761
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浅野 敦之 筑波大学, 生命環境系, 助教 (10630981)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 精子 / 膜ラフト / プロテオミクス / AMPK / グルコース / 先体反応 / 精子ー卵認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの結果から、ニワトリ精子において膜ラフトは運動性および先体反応性の制御において重要な役割を果たしてることが明らかになった。そこで、ニワトリ精子から生化学的に分離した膜ラフトおよび非ラフトをDimethylation 2 plex labeling approachによる相対定量的ショットガンプロテオミクスに供した。その結果、計265のタンパク質同定に成功し、その内75分子種が膜ラフトに豊富に存在していること、また16分子種は膜ラフトのみに存在していることを突き止めた。その内特徴的ないくつかの分子に絞り、ポリクロナール抗体を作製し分析を進めている。 グルコーストランスポーターは膜ラフトに豊富に存在することが分かった。そこでグルコースの精子機能に及ぼす影響とその作用機構を調べた。その結果、グルコースには先体反応促進効果があることが分かった。また運動性への影響は認められなかった。さらに種々の阻害剤を使った薬理学実験により、その作用機構について調べた。その結果、ニワトリ精子においてグルコースは膜ラフトに存在するグルコーストランスポーターを介して取り込まれること、またグルコースはAMP活性化プロテインキナーゼを介して先体反応を促進している可能性を明らかにした。 膜ラフトの精子ー卵認識における役割を検討した。その結果、膜ラフトタンパクのIPVLへの結合親和性は非ラフトに比べ著しく高いことが分かった。さらに、ビオチンーアビジンシステムを使って、IPVLに結合する膜ラフトタンパクのプロファイリングを行った結果、75KDの単一タンパク質がIPVLに強い結合性を示すことが分かった。以上の実験から、膜ラフトはニワトリ精子ー卵認識において足場として機能していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ニワトリ精子膜ラフトのプロテオミクスを実施し、多くのタンパク質を同定できたことから、今後の研究を進める上での基盤が構築できている。また膜ラフトの機能解析では、様々な新知見が出てきており、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの成果を基に、今後は以下の研究を予定している。 ポリクロナール抗体を使ったプロテオミクスデータの堅実性確認、および膜ラフトタンパクの発現、細胞内局在の解析。 グルコース取り込みによる先体反応促進効果に関与するシグナリング経路の全容解明。 膜ラフトに存在するIPVL結合性タンパクの分子種同定。
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Research Products
(5 results)