2015 Fiscal Year Research-status Report
イヌ尿細管上皮細胞のStat1による三次元管腔形成の制御
Project/Area Number |
15K07763
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
新井 克彦 東京農工大学, 農学部, 教授 (60175940)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | Stat1 / カドヘリン16 / HGF / MDCK |
Outline of Annual Research Achievements |
【はじめに】イヌ腎尿細管上皮細胞由来細胞株MDCKはコラーゲンゲル内で培養を行うことにより管腔構造が形成され,Hepatocyte growth factor(HGF)存在下でその管腔形成はStat1依存的に促進されることが報告されている.本研究では,MDCK株の管腔形成と腎特異的カドヘリン16(CDH16)発現に対するStat1の関与について検討した.【材料と方法】理研より分与されたMDCK細胞株は20%FBS/DMEMにて増殖させ,野生型(wt)および変異型(dn)Stat1安定発現MDCK株は700 μg/ml G418を含む同培地にて維持した.Stat1安定発現MDCK株はコラーゲンゲル内培養を行い,HGF添加による管腔形成並びに細胞外マトリックスおよび細胞接着装置の発現について,免疫組織化学染色および定量的PCRにより検討した.また,CDH16の転写開始点の上流1600塩基からその下流300塩基までの1900 bpの遺伝子断片をPCRにより増幅し,pGL3-basic ルシフェラーゼベクターにサブクローニングした後に wt/dn Stat1と共に一過性トランスフェクションを行い,ルシフェラーゼアッセイを行った.【結果および考察】野生型Stat1の強制発現によりCDH16の高い発現が誘導され,その発現はHGFによりさらに増強されるとともにカドヘリン明瞭な管腔構造を形成した.一方,変異型Stat1強制発現株ではHGF添加の有無に関わらずCDH16発現上昇は抑制された.また,ルシフェラーゼアッセイによっても,CDH16遺伝子上における上記 1900 bp 遺伝子断片内にStat1制御領域が含まれていることが明らかになった.以上の結果より,CDH16はStat1依存性に制御されており,コラーゲンゲル内における管腔形成を増強させることが示唆された.今後は,CDH16遺伝子上におけるStat1制御領域を同定する予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CDH16の転写開始点の上流1600塩基からその下流300塩基までの1900 bpの遺伝子断片をPCRにより増幅し,ルシフェラーゼベクターにサブクローニングした後に wt/dn Stat1と共に一過性トランスフェクションを行い,ルシフェラーゼアッセイを行ったところ,CDH16遺伝子上における上記 1900 bp 遺伝子断片内にStat1制御領域が含まれていることが明らかになった.
|
Strategy for Future Research Activity |
テトラサイクリン調節ベクター (pTet-On或いはpTet-Off)をMDCK細胞にトランスフェクションし,G418により選択し,Stat1-Tet-OnおよびTet-Off MDCK安定発現株の樹立する. 次に,これらの細胞株を用いて,コラーゲンゲル内における管腔形成およびカドヘリン16発現様式について,レーザー顕微鏡により観察する.
|
Causes of Carryover |
当初計画より安価な物品が調達できたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品費の一部として使用する。
|