2015 Fiscal Year Research-status Report
消化管における分泌型の補体系による生体防御機構の解明
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15K07766
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| Research Institution | Kobe University |
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Principal Investigator |
北川 浩 神戸大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40125307)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 潤一 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40127361)
万谷 洋平 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (30724984)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 消化管 / 補体分泌 / 補体経路 / 補体受容体 / 常在細菌 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
消化管内腔における補体系成分の役割について，申請者等が従来解明してきた常在細菌と宿主との応答や常在細菌の定着の仕組みに関する基礎的な研究成果を基に，in vivoでの視点を基盤として消化管内腔における補体系成分の分泌部位等に関する基礎的知見についてラットを実験モデルとして免疫組織化学的に精査し，以下の成果を得た。
１．生理学的条件下の消化管全長に付属する外分泌腺（上皮内腺，上皮外腺）における補体線分の分泌の有無について免疫組織化学的に明らかにした。この成果については近日中に論文公表をする予定である。また消化管内容物中の補体系の蛋白質の存在についても生化学的解析を進めるとともに，常在細菌の過増殖下における外分泌腺からの補体成分の分泌の変化についても免疫組織化学的に検討中である。
２．生理学的条件下の小腸及び大腸前腸においてアポトーシス後期の微絨毛円柱上皮細胞から腸管内腔の補体成分の吸収が起こることを免疫組織化学的に明らかにするとともに，上皮直下の粘膜固有層に存在する毛細血管へ直接輸送されることを明らかにした。この成果については近日中に論文公表する予定である。
３．生理学的条件下のパイエル板においてリゾチーム等の抗菌物質を有する大食細胞や樹状細胞等による特殊な防御機構が存在することを明らかにするとともに，常在細菌の過増殖下における応答の変化について明らかにした。この成果については近日中に関連の学術集会で公表する予定である。
４．粘膜上皮からの補体成分の吸収・輸送を探る上での基礎的研究として，アポトーシス後期の上皮直下に存在する毛細血管が従来理論的に取り込みが不可能とされてきたキロミクロン(乳ビ球)をVLDL受容体を介して取り込み，輸送すること並びに様々な抗菌物質等に晒された腸管内腔の常在細菌の生存状態等について論文公表した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究課題において，消化管内容物中の補体系の蛋白質の生化学的検出については現在順調に成果が出ており，さらに常在細菌の過増殖下における外分泌腺からの補体成分の分泌の変化についても実験例数を揃える作業をしているので，概ね順調に進行している。これら以外の研究課題である補体成分の分泌部位の特定や分泌補体の吸収については当初の計画通り，順調に成果が出ている。
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| Strategy for Future Research Activity |
次年度は，所期の研究目的を完遂できるよう前年度からの研究継続も含めて以下の研究を実施し，学会発表及び論文公表に努める。
１．ラットの消化管全長の粘膜における補体受容体を免疫組織化学的に精査し，補体の上皮への取り込みや常在細菌の定着状況に応じた防御応答との関係について調べる。
２．ラットの消化管全長の外分泌腺における補体受容体を免疫組織化学的に精査し，補体受容体のリガンドの閾値調節を行っている可能性について調べる。
３．ラットの消化管内腔における各種補体受容体の濃度をELIZAないしはWestern Blot法により調べ，回腸のパイエル板濾胞被蓋上皮においてM細胞の細胞分化に及ぼすTLR以外の因子を明らかにする。
以上の研究成果と申請者が従来明らかにしてきたToll-like receptor や抗菌物質等の分泌状況とを比較検討して常在細菌等に対する生体防御機構について総合的に考察する。
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