2017 Fiscal Year Annual Research Report
Roles of Superoxidedismutase in Central Glia for Protection from Oxidative Stress
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15K07768
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中村 洋一 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (90180413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 光章 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20275283)
高野 桂 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (50453139)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スーパーオキシドディスムターゼ / アストロサイト / エクセンディン4 / EC-SOD / アミロイドβ / プリオン蛋白 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経変性疾患の治療戦略の基盤構築のために,我々はグリア細胞機能に注目して,特にミクログリアとアストロサイトの機能変化を起こす薬剤や,刺激に寄って起こった機能変化を押さえ込む薬剤などの検索に注力してきた。本研究課題では,脳内で活性酸素種を低減して酸化的ストレスからの保護に重要な役割を果たしているアストロサイトのEC-SODの存在や動態について検討してきた。 本年度得られた興味深い結果は,プリオン蛋白断片(PrP106-126)のアストロサイトEC-SOD活性に与える影響である。プリオン病の原因とされる異常化プリオン蛋白の異常化する前の正常プリオン蛋白(PrPc)の生理機能の詳細は未だ不明であるが,その構造にはCu2+と結合する部位があり,Cu2+を細胞内に取り込む働きをしているとする仮説が成り立つ。SOD1とSOD3(=EC-SOD)はCu2+を補助因子として必要とするので,PrPcがEC-SOD活性に何らかの影響を与えている可能性がある。 PrP106-126 (Sigma)をリン酸緩衝液pH 5.0中で2 mMに溶解して2日間37℃で静置して繊維化させたものを用いて,アストロサイトを4日間刺激するとEC-SOD活性が約10%までに減少するという結果を得た。今後3種類のSODのmRNAと蛋白レベルの変化や細胞内Cu2+の定量などを合わせて論文報告したい。 細胞外でのPrPcの蓄積はSOD活性を抑制し,酸化的ストレスに脆弱となった結果,進行性のニューロン脱落に至る可能性がある。家族性ALSもSODの異常が原因となっていることが知られているおり,PrPcとSODの関連が明らかになればプリオン病やALSをはじめとする中枢神経疾患の病態解明に新しい展開が導かれる可能性がある。
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