2016 Fiscal Year Research-status Report
TGF-βによるイヌ破骨細胞形成調節:マウス破骨細胞形成モデルと異なる機構の解明
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15K07773
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
村上 賢 麻布大学, 獣医学部, 教授 (80271360)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 発生・分化 / 破骨細胞分化 / TGF-β / イヌ |
Outline of Annual Research Achievements |
長寿化に伴い、イヌの( 潜在的)骨疾患は増加傾向にある。破骨細胞は骨吸収の責任細胞なので、破骨細胞の数と機能の制御破綻は骨代謝異常に繋がる。本研究では、イヌ骨髄細胞を破骨細胞に分化させる際にTGF-βが果たす役割、ならびに作用機構を明らかにすることを第一の目的とする。また、イヌ末梢血単核細胞が破骨細胞に分化する方法の確立、ならびに、血中骨代謝関連因子濃度と分化能との関連の明確化を第二の目的とする。これらの解析を通して、イヌ破骨細胞活性化を介した骨疾患惹起に関する基礎的理解が研究全体の目的である。 第一の目的に関わる分子機序を明らかにするため、H27年度に引き続き、イヌ破骨細胞形成過程を促進する各種転写因子(NFATc1, PU.1, AP-1, NFkB)の発現ベクターや破骨細胞分化関連遺伝子(IntgαV, DC-STAMP, CTR, Intgβ3)のプロモーター領域を組み込んだレポーターコンストラクトを新たに作製した。H27年度に作製したプラスミドコンストラクトも利用して、予備的なルシフェラーゼアッセイを実施した。イヌの各種組織由来のRNAを入手し、cDNAを作製して各種遺伝子発現の測定に対応できるようにした。また、第二の目的であるイヌ末梢血単核細胞からの培養を試みた。マクロファージ系細胞の単離と長期間の生存は維持できるものの破骨細胞分化実験に必要な細胞数を増殖させるには至らなかった。凍結保存したイヌ骨髄由来単核細胞ではGM-CSFとIL-4を用いることにより、長期間の培養は必要なものの、十分な増殖細胞数を得ることができた。ウシ末梢血液から増殖培養した単核細胞から確立した方法により、再現性良く破骨細胞へ分化できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イヌの骨髄由来単核細胞を用いての破骨細胞形成までの分化培養法と破骨細胞形成過程におけるMitfやTGF-βの関わりについて一部データをまとめて、国際英文雑誌へ投稿した。 イヌ破骨細胞形成過程における分子機序を評価するための一連の転写因子発現ベクターやそれらの標的遺伝子群のレポーターコンストラクトを構築することができた。 イヌ末梢血単核細胞からの破骨細胞形成方法の確立に至っていないが、ウシ末梢血を用いて血単核細胞から良好な破骨細胞への分化の再現性は確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
イヌ末梢血液からのマクロファージ系細胞の十分な増殖方法を検討するとともに、ウシ末梢血液から破骨細胞分化は再現性良く誘導できたため、この系を用いてのTGF-βの作用を検討する。 凍結保存したイヌ骨髄由来単核細胞をH28年度で確立した方法で増殖させ、破骨細胞分化を誘導する。この培養系を用いて、破骨細胞形成過程での各種遺伝子発現やTGF-βの役割を調べる。 これまでに構築した転写因子発現ベクターとレポーターコンストラクトを駆使してレポーターアッセイを行い、また必要に応じてゲルシフトアッセイも利用して、イヌ破骨細胞分化における遺伝子発現の分子機序とTGF-βがそこに果たす役割を明らかにする。
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