2016 Fiscal Year Research-status Report
吸血性昆虫を利用した野生動物由来の人獣共通フィラリア症の検索
Project/Area Number |
15K07781
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
福田 昌子 大分大学, 医学部, 助教 (00156788)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 靖 鹿児島大学, 国際島嶼教育研究センター, 准教授 (00244161)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 野生動物 / 人獣共通感染症 / 吸血性昆虫 / ブユ / フィラリア / オンコセルカ |
Outline of Annual Research Achievements |
1.日本の人獣共通オンコセルカ症起因種イノシシ寄生性Onchocerca dewittei japonica (O. d. j.) の伝播サイクルを解明するために、平成27年度に続いて、大分県においてイノシシ囮法で採集されたブユ成虫の吸血源動物の調査を行った。その結果、ヒト吸血性ヒメアシマダラブユがイノシシを吸血することが分かった。平成27年度の本研究でイノシシを吸血することが証明されたヒト吸血性キアシツメトゲブユだけでなくヒメアシマダラブユもO. d. j.の自然媒介者となりうることが示唆された。 2.人獣共通オンコセルカ症が発生した広島県において採集されたブユ成虫のフィラリア幼虫の自然感染を調べた。269個体を解剖した結果、キアシツメトゲブユ1個体からO. d. j.のミクロフィラリアが見いだされた。感染力を有する第3期幼虫ではなかったが、広島県においても、最初に症例が発生した大分県と同様に、人獣共通オンコセルカ症の媒介者がキアシツメトゲブユである可能性があることが分かった。 3.O. d. j.のような動物寄生性フィラリアの人体感染の報告がない地域での人獣共通フィラリア症の発生を予測をするために、鹿児島県、栃木県、兵庫県および福井県で、ブユ成虫の採集を行い、各地域のブユ相とフィラリア幼虫の自然感染の調査を行った。鹿児島県奄美大島で1年間月に1度日の出から日没まで採集した結果、アシマダラブユとミエツノマユブユの2種827個体が採れた。日中活動のパターンは一定しなかったが、年間を通じてブユの活動があった。山間部でのブユによる吸血被害が知られている奄美大島では、人獣共通フィラリア症の感染の可能性も含めて、山間部に入る場合はブユに刺されないように1年中注意する必要がある。栃木県、兵庫県および福井県の採集結果は現在集計中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度に研究代表者が所属部署を異動し、研究環境が変わったため、研究全体に少し遅れが生じていた。平成28年度に環境はほぼ整ったが、ブユ成虫のフィラリア幼虫の自然感染の調査に不可欠なブユの解剖などの手間のかかる作業にやや遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
全体に少し遅れが生じているが、交付申請書の研究実施計画に沿って研究を行う予定である。但し、各地でのブユ採集は天候に左右されるため、期待どおりの野外調査ができない場合がある。平成28年度は大雨や台風の影響で、一部の地域では、充分な数のブユを採集することができなかった。また、計画書どおり動物寄生性フィラリア種の簡便な遺伝子識別法を開発する予定であるが、現在採集したブユ成虫からフィラリアがあまり検出されていない。したがって、識別法の開発よりは、ブユ採集とブユのフィラリア幼虫の自然感染と吸血源動物の調査により重点を置く予定である。
|
Research Products
(6 results)
-
-
-
[Journal Article] Morphological and molecular characteristics of Malayfilaria sofiani Uni, Mat Udin & Takaoka n. g., n. sp. (Nematoda: Filarioidea) from the common treeshrew Tupaia glis Diard & Duvaucel (Mammalia: Scandentia) in Peninsular Malaysia2017
Author(s)
Shigehiko Uni, Ahmad Syihan Mat Udin, Takeshi Agatsuma, Weerachai Saijuntha, Kerstin Junker, Rosli Ramli, Hasmahzaiti Omar, Yvonne Ai-Lian Lim, Sinnadurai Sivanandam, Emilie Lefoulon, Coralie Martin, Daicus Martin Belabut, Saharul Kasim, Muhammad Rasul Abdullah Halim, Masako Fukuda, Hiroyuki Takaoka, et al.
-
Journal Title
Parasites & Vectors
Volume: 10
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-