2015 Fiscal Year Research-status Report
世界文化遺産における複合的な森林整備のためのガイドラインの作成
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15K07823
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
黒田 乃生 筑波大学, 芸術系, 教授 (40375457)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 森林管理 / 里山 / 遺跡保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は世界文化遺産に登録された「石見銀山遺跡とその文化的景観」および「白川郷・五箇山の合掌造り集落」を対象に、森林を媒体とする文化遺産の価値の体験、遺産阻害要因の整理と現状の把握、里山の再生と維持管理の仕組みづくりと検証を行い、結果をふまえて森林植生の整備および維持管理のためのガイドラインを作成することを目的とした。初年度は研究期間が6ヶ月間だったため、現状の課題を整理し、次年度の調査のための打ち合わせと準備を行った。「石見銀山遺跡とその文化的景観」では大田市で森林整備の活動をするNPO法人緑と水の連絡会議への聞き取り調査を実施し、国際ワークキャンプ参加者や地域の小・中学生、高校生による活動の実態を把握した。石見銀山では竹の伐採と搬出のほか、クリの植林を行っており、積極的な森林管理の取り組みが見られた。また、NPO法人石見銀山協働会議主催の「クリーン銀山」の活動による観光ルート沿いの森林整備の効果が確認できた。「白川郷合掌造り集落」に関しては、関係者と次年度の調査について打ち合わせを行った。トヨタ白川郷自然學校への聞き取り調査からは同校が国内外の来訪者に向けた体験プログラムを提供し、自然資源と合掌造り家屋のかかわりなど白川郷の文化的価値を伝える取り組みがあることが確認された。さらに荻町地区周辺の里山のトレッキングツアーを実施している「白山白川郷トレイルクラブ」に次年度調査への協力依頼を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は10月に追加公布内定があり、実質的な研究期間が6ヶ月であったことから、計画通りに研究が進んでいない。特に白川郷においては研究期間の6ヶ月が積雪がある冬期に重なってしまったため現地調査ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は遺産を阻害している植物について現地調査と担当者への聞き取りから把握し、課題を整理する。具体的には、「石見銀山」の地下遺構を損傷する恐れのある樹種を現状の植生と既往研究および文献から抽出する。「白川郷」の集落周辺で樹木によって合掌造り家屋の劣化が進んでいる場所を確認し、森林、家屋双方の所有者への聞き取り調査をあわせて実施する。また、モニターツアーの実施については石見銀山ではガイドの会または地域の専門家の協力を依頼する予定である。
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Causes of Carryover |
白川郷における現地調査が積雪のある冬期に実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「石見銀山」および平成27年度に実施できなかった「白川郷」における現地調査のための旅費に充てる。
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