2016 Fiscal Year Research-status Report
抗花粉症薬剤の開発を目指した機能性糖鎖ポリマーの作製と細胞性免疫活性解析
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15K07841
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| Research Institution | Okayama University |
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Principal Investigator |
前田 恵 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (20434988)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 糖鎖ポリマー / N-グリカン / 植物抗原性糖鎖 / ルイスa抗原 / 花粉アレルゲン / Th2免疫応答 / Th1免疫応答 / IFN-γ産生 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
植物複合型N-グリカン（植物抗原性糖鎖）の骨格構造 ManXyl1Fuc1GlcNAc2（M3FX）によるヒトTh2免疫応答の抑制機構を解明する研究の一環として，（1）M3FXを多数結合させた糖鎖ポリマーによる結核菌抗原（PPD）特異的Th1応答（IFN-γ産生）への影響を解析し，この糖鎖ポリマーはTh1免疫応答を促進しないという結果を得た。（2）水草糖タンパク質由来のルイスa抗原含有糖鎖を多数結合させた糖鎖ポリマーの作製を行った。その結果，γポリグルタミン酸（γPGA）の約3%にルイスa抗原含有糖鎖糖鎖を結合させた（γPGA１分子あたり170分子の糖鎖を結合）糖鎖ポリマーを作製できた。今回，タケノコの可食部について糖タンパク質の糖鎖構造解析を行い，水草よりもルイスa抗原含有糖鎖の精製に適していることが明らかとなり論文発表した。（3）新しく同定されたヒノキ花粉アレルゲンCha o3に結合している糖鎖の構造解析を行った。ヒドラジン分解により糖鎖を切り出し，N-アセチル化後，糖鎖を蛍光（PA）標識した。得られたPA化糖鎖の構造は，グリコシダーゼ消化およびESI-MS，MS/MS解析により行った。その結果，Cha o3は植物複合型糖鎖を結合しており，その約半数はルイスa抗原含有糖鎖であり，日本スギ花粉アレルゲンCry j1，アメリカイトスギ花粉アレルゲンJun a1に結合している糖鎖構造と類似していることを明らかにした。また，（4）植物抗原性糖鎖の抗原性低下に関与するトマトα1,3/4フコシダーゼの遺伝子同定を行い論文発表した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
（1）植物抗原性糖鎖の骨格構造M3FXを多数結合させた糖鎖ポリマーによる結核菌（PPD）特異的Th1免疫応答への影響を解析した結果，この糖鎖ポリマーはIFN-γ産生促進を介したTh2免疫応答の抑制には関与していないということが示唆された。今年度は，この糖鎖ポリマーによるスギ花粉アレルゲンCry j1特異的Th2免疫応答（細胞増殖やIL-4産生）の抑制については実験を行うことが出来なかった。（2）スギやヒノキ花粉アレルゲンに結合しているルイスa抗原含有糖鎖を水草糖タンパク質から調製し，γポリグルタミン酸（γPGA）の3%程度に結合させた糖鎖ポリマーの作製に成功したが，今回の実験により，ルイスa抗原含有糖鎖の供給源としてタケノコ糖タンパク質が有用であることが判明した。（3）新規ヒノキ花粉アレルゲンCha o3の糖鎖構造を同定し，既報の花粉アレルゲン（Cry j1，Jun a1）の糖鎖構造と類似していることを明らかにした。
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| Strategy for Future Research Activity |
（1）植物抗原性糖鎖の骨格構造M3FXを多数結合させた糖鎖ポリマーによるスギ花粉アレルゲンCry j1特異的Th2免疫応答（細胞増殖やIL-4産生）の抑制について解析するため，ヒト末梢血単核球細胞を用いた培養実験を行う。また，ルイスa抗原含有糖鎖については，タケノコ糖タンパク質から多量調製し，糖鎖ポリマーを作製し実験に用いる。（2）植物抗原性糖鎖のみならず，ハイマンノース型糖鎖や動物複合型糖鎖の結合した糖鎖ポリマーも調製できたので，それぞれの糖鎖ポリマーについてヒト単核球細胞株（THP-1）やマウスマクロファージ様細胞株（RAW264.7）などの培養細胞を用いて細胞増殖やサイトカイン産生に与える影響を解析する計画である。（3）糖鎖ポリマーを用いて，免疫担当細胞における糖鎖結合タンパク質の同定を試みる。更には，樹状細胞やマクロファージによる糖鎖ポリマーの取り込みを観察するため蛍光ラベル下糖鎖ポリマーの作製に取り組む。また，リポソーム作製も試みる。
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| Causes of Carryover |
計画していた培養実験が，次年度に繰り越しになったため。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養実験に使用する抗原（PPD，Cry j1など），ELISA測定キット，消耗品などを購入する予定である。
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