2017 Fiscal Year Research-status Report
保護基フリー合成を志向した炭素‐炭素結合形成反応の開発
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15K07851
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 洋平 北海道大学, 理学研究院, 講師 (60609816)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 銅触媒 / 糖 / 保護基フリー |
Outline of Annual Research Achievements |
銅触媒を用いた無保護糖のプロパルギル化を精査した。置換基を有したアレニルボロネートを求核剤前駆体として用いても、立体選択的にプロパルギル化が進行することを昨年度に見出していたが、その選択性をさらに向上させることに成功した。銅塩の選択と添加剤であるホウ素化合物の選択が重要であり、適切な組み合わせを用いることで生成しうる4つの異性体のうち1種類をおよそ90%の選択性で得ることができる。適切な配位子を用いると、これとは別の異性体をやはりおよそ90%の選択性で得ることができ、配位子、銅塩、ホウ素化合物の選択によって立体異性体の高度な作りわけが可能になりつつある。同時に、適用範囲の拡大を目指し、求核剤前駆体のアレニルボロネートを各種合成している。 生成物からC3位置換シアル酸誘導体への変換にも取り組み、保護基を用いることなくシアル酸誘導体へと導くことに成功した。C3位無置換シアル酸の合成とは異なる合成経路が必要であり、アルキン末端ハロゲン化とオスミウム酸化のわずか2工程でシアル酸誘導体へと変換できる。現段階で精製条件の決定には至っていないが、粗生成物のNMRおよび質量分析により生成物を確認している。 昨年度見出していた1,4―エンインを求核剤前駆体として利用する銅触媒系を検討している際に、1,4-エンインからアレンへの異性化が進行することが分かった。さらに、銅触媒上に不斉キラル配位子を利用することによって、エナンチオ選択性の制御が可能であった。プロトン移動のみで進行する反応で、原子効率に優れたキラルアレン合成として有用である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究機関の異動があったため、その間満足な環境で研究を進めることができなかった。この間を除けば、進行状況は順調であった。
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Strategy for Future Research Activity |
C3位置換シアル酸誘導体の精製・単離条件の探索を進める。HPLCを用いた方法や、イオン交換樹脂の利用などを計画している。さらに、多様な置換アレニルボロネートを合成し、各種シアル酸誘導体の合成を試みる。
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Causes of Carryover |
昨年度途中に研究機関の異動があり、その間実験を進めることができない期間が生じたため。 研究機関の異動に伴い、ガラス器具などの消耗品や試薬類を新たに購入する必要があるため、これらの購入に使用する。
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Research Products
(17 results)