2016 Fiscal Year Research-status Report
高活性な三価ヨウ素試薬の創製とメタルフリー環化付加反応による複素環合成法の開発
Project/Area Number |
15K07852
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
齊藤 亜紀夫 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10339103)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 超原子価ヨウ素 / アルキン / オキサゾール / メタルフリー / 環化 / 官能基化 / 有機触媒 / アトムエコノミー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は下記の研究課題について検討を行い、以下のような成果が得られた。 1)イミノヨーダンの新規合成法の開発と有機反応への応用:アミンの置換基を工夫することにより、「従来法において必要であった酸」を添加することなく、ヨードシルベンゼンとアミンからイミノヨーダンが室温短時間で得られることを見出した。また、本手法で発生させたイミノヨーダンはジカルボニル化合物のα-アミノ化反応に適用可能であり、汎用されているイミノヨーダンよりも高い反応性を示すことを明からにした。 2)プロパルギルアミド誘導体の環化―官能基化反応:以前の研究展開において、プロパルギルアミド誘導体の環化―酸素官能基化反応からアルキン類のメタルフリーな環化付加型オキサゾール合成法を見出したことから、新たな環化付加型複素環合成法の開発を念頭に置き、新たな環化―官能基化反応について検討を行った。その結果、超原子価ヨウ素を触媒とする「環化―窒素官能基化反応」及び「―フッ素化反応」の開発に成功した。 3)ヒドロキサム酸とジエンとの酸化的環化付加型反応:三価ヨウ素試薬がヒドロキサム酸のN-O結合の酸化に有効であることを見出し、本反応で形成されるアシルニトロソ種とジエンとのhetero-Diels-Alder反応の開発に成功した。また、本反応系に強酸を添加すると、ヒドロキサム酸とジエンから一段階でニトロン化合物(Diels-Alder付加体である1,2-オキサジンの開環と閉環反応によって形成される)が得られることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度は「イミノヨーダンの迅速合成法」を除く昨年度計画の他に、今年度開発予定の「三価ヨウ素触媒による[2+2+1]型オキサゾール合成法」の開発を行っていたので、もともと当初の計画以上に進展していた。今年度は「イミノヨーダンの新規合成法」に加え、次年度に計画していた「他の複素環合成法」の一部を行うことができたため、研究がさらに進展した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の検討結果から、「イミノヨーダンの新規合成法」を見出すことができたため、本知見を基に、イミノヨーダンの触媒化について検討を行う予定である。また、新たな環化―官能基化反応を見出すことができたので、本手法を環化付加型複素環合成法へと展開す予定である。さらに、ヒドロキサム酸とジエンとの酸化的環化付加型反応を三価ヨウ素触媒反応へと展開する予定である。
|
Causes of Carryover |
昨年度から今年度に予定変更した「イミノヨーダンの迅速合成法」に関する研究計画は、「イミノヨーダンの触媒化」も課題として含まれていたが、本課題の検討が十分に行えていなかったため、未使用額が発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
「イミノヨーダンの触媒化」は次年度も引き続き行うため、今年度の未使用額はその経費(試薬費)に使用したい。
|