2017 Fiscal Year Annual Research Report
Synthetic study of ellagitannins based on coupling reactions between two aromatic rings
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15K07854
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
阿部 仁 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (70221728)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 全合成 / ポリフェノール / Ullmann 反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物性ポリフェノールの一種であるエラジタンニン類および関連分子の合成を行なった。 1)Nigricanin の全合成:2004 年にRussula nigricans より単離構造決定された本化合物は、エラグ酸の芳香環が部分還元されたユニークな構造を持つ。本化合物の持つ潜在的な対称性に着目して、簡便合成を達成した。すなわち、安価なisovanillin を出発原料として二量化を行ない、その後分子内 Cannizzaro 反応を用いて分子の非対称化を施した。数工程の官能基変換を経てnigricanin の合成を達成した。 2)Isorugosin B の全合成:Liquidambar formosana より見出された本化合物は、部分構造として、軸不斉を有する valoneoyl 基を含んでいる。以前の研究において、全てのフェノール部位をメチル基で保護した化合物の合成を行なった。しかしながら、全部のメチル基を脱保護することは困難であり、今回保護基をベンジル基に変更して合成を試みた。 Ullmann カップリング反応と、 Ullmann 縮合反応を組み合わせることにより、valoneoyl 基の合成を行ない、その後 Bringmann 法によるラクトンの不斉開環により、軸不斉 valoneoyl 基の調製に成功した。グルコースとの縮合反応と数工程の官能基変換を経て、 isorugosin B の全合成を達成した。 3) Nilotinin M3 の合成:本化合物は Tamarix nilotica に含まれる化合物であり、特徴的な isodehidrodigaloyl 基を有している。Ullmann 縮合反応を用いることにより、isodehydrodigallic acid の合成ができた。今後、nilotinin M3 の全合成に向けてさらなる検討を行なう。
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Remarks |
この研究課題に関連して、日本学術振興会「ひらめき☆ときめきサイエンス」を実施した。
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Research Products
(8 results)