2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K07855
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松尾 淳一 金沢大学, 薬学系, 教授 (50328580)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環化付加反応 / 結合開裂 / 有機合成 / 反応開発 / 炭素ー炭素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
キノリンおよびイソキノリンと3-アルコキシシクロブタノンとの形式的[4+2]環化付加反応を開発した。電子欠損型芳香族化合物であるキノリンが3-アルコキシシクロブタノンと反応したことは、これまでに電子豊富な多重結合つまり、求核的多重結合が3-アルコキシシクロブタノンと反応しやすいというこれまでに得られた知見とは異なり、大変興味深い。また、ジアゾ化合物のN=N二重結合に対する3-アルコキシシクロブタノンとの形式的[4+2]環化付加反応を開発した。この研究によってジアゾ化合物の環化付加に関する位置選択性の結果より、その反応機構に関する知見を得ることができた。 また、シクロブタノンとイナミドとの環化付加を検討している際にイナミドの特殊な反応性に興味を持ち、検討を行った。その結果、イナミドとアルデヒドおよびケトンとの反応は四塩化チタン存在下にて進行し、α―クロローγーヒドロキシエナミドが立体選択的に生成することを見出した。また、内部イナミドは立体選択的に反応が進行しないことから、その反応は段階的に進行していることを推測した。このように合成したα―クロロ―γーヒドロキシエナミドの合成化学的有用性を検討したところ、パラジウム触媒を用いる鈴木還付リングは円滑に進行した。また、アリールホウ酸を用いずにパラジウム触媒を用いて反応を検討したところ、予期しないN-トシル基上のベンゼン環との分子内環化が円滑に進行することが分かった。 さらに、1,4-ケトアルデヒドとトシルヒドラジンからなる中間体から各種求核剤とルイス酸を用いることによってヒドロピリダジン誘導体を合成できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キノリンのC=N結合及びジアゾ化合物のN=N結合に対して3-アルコキシシクロブタノンとの反応という2種の新たな反応を開発することができ、それを論文として発表することができたため。また、イナミドを用いる炭素炭素結合形成反応やヒドロピリダジンの1,4-ケトアルデヒドからの新しい合成法を見出したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ニトロソベンゼンおよびイナミドに対する3-アルコキシシクロブタまた、とシクロブタノンとの形式的環化付加反応を検討する。さらに3-アリールシクロブタノンと芳香族化合物とのFriedel-Crafts反応を検討する。また、α―クロロ―γ-ヒドロキシエナミドの特にパラジウム触媒を用いる有機合成化学的有用性を明らかにする。3-アルコキシシクロブタノンを用いる6員環形成反応だけでなく、7員環および8員環形成反応についても検討を行いたい。
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Research Products
(11 results)