2015 Fiscal Year Research-status Report
イソキノリン海洋天然物を創薬シードとする合成と新規制がん剤の開発
Project/Area Number |
15K07873
|
Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
齋藤 直樹 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (80142545)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 真也 明治薬科大学, 薬学部, 助手 (10632739)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 全合成 / 化学変換 / 海洋天然物 / テトラヒドロイソキノリン / 構造活性相関 / 抗腫瘍活性 / ラジカル反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
① Et 770を創薬シードとする新規医薬品の開発:これまでの研究からがん細胞増殖抑制効果の増強が期待される2'-N-アシル誘導体(11個)を新たに合成し、その生物活性を評価したところ、ほぼ予想した活性発現の傾向が確認できた(Chem. Pharm. Bull., accepted)。 ②我々が開発したレニエラマイシン G全合成中間体(Tetrahedron, 2012, 68, 4166-4181)からレニエラマイシン M, I, S, および Tへの変換にそれぞれ成功した。この結果、本系天然物の柔軟な合成が可能となった(Tetrahedron, in preparations)。③AB環に相当する既知光学活性テトラヒドロイソキノリンとE環に相当する特徴的な置換様式を保持したチロシン誘導体から光学活性レニエラマイシンTの初の全合成に成功した(J. Org. Chem., accepted)。④ビス-p-キノンの還元により生じるビスヒドロキノンの位置選択的アシル化による新規レニエラマイシン誘導体の一般的合成法を開発し、その生物活性を評価した(J. Nat. Prod., submitted)。⑤各種左半部モデル化合物の合成とともに、光照射によるシクロペンタン-1,3-ジオン環形成反応を見出した。本反応はEt 770に特徴的なA環置換様式の構築に関連が深い興味あるラジカル反応を含んでいる(Synthesis, in preparations)。⑥前項に示した新規反応の応用としてレニエラマイシンMからレニエラマイシン Tへの変案に成功し、様々なレニエラマイシンT誘導体の合成と細胞毒性試験の展開に発展させた(未発表)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要において、5つの具体的な研究成果に示したとおり、当初、想定した研究目的をほぼ達成することができた。しかし、2,3の投稿準備中の研究は、以下の点を明らかにするための確実な実験的証拠のさらなる探求が望まれる。 概要②:サフラマイシン系抗生物質の側鎖を持つ化合物群への変換と構造活性相関への展開につなげたい。 概要④:モノアシル化体の構造はnOeなど、NMRスペクトルデータの解析のみで推定している。さらに、X線結晶構造解析などによる構造決定を経て、生物活性発現に必要な構造単位を特定したい。 概要⑤:本変換に関わるラジカル反応の詳細な解析による特異な置換基をもつフェノールの生成機構を明らかにしたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
①全合成並びに独創性の高い新規光反応によるレニエラマイシン T の合成経路を基軸として各種誘導体を合成し、細胞毒性試験を展開する。 ②これまで化学変換したエクチナサイジン誘導体に関する細胞毒性試験結果を考察し、新規制がん剤の創薬リードをデザインする。 ③各種部分構造単位に関する細胞毒性試験結果から、生物活性発現に必要な構造単位を特定し、合成プロセスを追及する。 ④レニエラマイシン系海洋天然物の生合成前駆体の加工性が高いレニエラマイシン Yの全合成経路を立案し、実践する。
|
Causes of Carryover |
研究成果報告のための学会参加数を絞ったことと論文の投稿が年度をまたいだため、論文投稿や別刷代金を次年度経費から支出するため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会参加費および学術論文投稿審査料金として使用する予定である。
|