2015 Fiscal Year Research-status Report
多重結合をもつアルコキシイミン類の高原子効率的多段階連続反応の開発
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15K07877
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
上田 昌史 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (00340935)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 共役ヒドラゾン / ヨウ化t-ブチル / インドール合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヨウ化水素(HI)はブレンステッド酸として働くだけでなく、還元剤としての性質も併せ持つ興味深い試薬であるにもかかわらず、あまり有機合成反応に利用されていない。そこで、HIの特性を利用した新規反応の開発を目的として、ヨウ化t-ブチル(tBuI)のE1脱離によって生成するHIの利用を検討した。すなわち、窒素原子上にフェニル基を導入した共役ヒドラゾンにtBuIを作用させると、tBuIから発生したHIにより還元反応が進行し、エナミンの生成を経由するFischerインドール合成が連続して進行し、インドールが得られると期待した。 はじめに、p-メトキシフェニル基を有する共役ヒドラゾンを基質としてtBuIとの反応を検討した。反応条件を種々検討した結果、アセトニトリル還流中、3当量のtBuIを加えた場合に最も高い収率でインドールが得られることが明らかとなった 次に、本反応がHIによって進行していることを確認するため、ヨウ化水素酸を用いて反応を行ったところ、インドールは生成したものの、水の存在に起因する副生成物のため、収率は低下した。続いて、基質一般性について検討した。ベンゼン環上のパラ位に電子供与基やハロゲンを有する基質とtBuIとの反応では、中程度または良好な収率で目的のインドールを与えた。また、窒素原子上やイミン炭素上に置換基を有する場合にも高収率で様々なインドールが得られた。 さらに、本手法を用いたコリンエステラーゼ阻害作用を有するphysostigmineの形式全合成および抗炎症作用を有するindomethacinの合成への展開にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従って研究を遂行中に予期せぬ興味深い現象を見出すことができたので、当初の計画以上に本課題研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ化学量論量の反応の開発に留まっているため、今後は触媒反応の開発研究に展開する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度であるため、節約しながら研究を進めた結果、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に、試薬や溶媒の購入に利用する予定である。また、成果発表のための旅費としても利用する。
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Research Products
(5 results)