2016 Fiscal Year Research-status Report
Baldwin則への挑戦:環化様式を完全に制御する統一的方法論の開発
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15K07878
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
沖津 貴志 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (50441209)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヨウ素 / 環化反応 / アルキン / イナミド / β-シリル効果 / Baldwin則 / 環化様式 / 配向基 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子内閉環反応の進行のしやすさは通常Baldwin則に従うことから、endoとexoの環化様式が共に許容の場合には反応の制御が難しい。私は、環化後に除去あるいは官能基化が可能な配向基を導入したアルキンを環化前駆体として設定し、これを閉環反応に付すことでendo体とexo体をそれぞれ一方的に作り分けできる統一的方法論の開発を目指した。 Endo選択的な環化反応には、アミド基が置換したアルキンであるイナミドをヨード環化反応の基質に用いることで、通常のアルキンに比して反応性が飛躍的に向上することを実証している(J. Org. Chem. 2014)。本反応は5員環形成反応であることから、今年度はより環化反応が難しいとされる6-endo及び7-endo型閉環反応に挑戦した。その結果、反応はわずか1分で完結し、6及び7員環エーテルを高収率で与えることを見出した(日本薬学会第136年会 25PA-am120S)。 Exo選択的な環化反応には、β-シリル効果を期待できるシリルアルキンを用いた。昨年度はセリンから容易に誘導可能なシリルプロパルギルグリシン誘導体のヨード環化反応が6-exo-dig型で進行することを明らかにしたので、今年度は基質一般性の拡張を狙ってシリルアルキンと窒素求核部を繋ぐリンカーの効果を検討し、本反応の汎用性を実証した(第42回反応と合成の進歩シンポジウム 1P-18)。 一方、シリルアルキンに対して求電子剤として1価の金触媒を用いた分子内ヒドロアミノ化を検討したところ、β-シリル効果は全く関与せず、5-endo-dig型環化が進行することを明らかとした(日本薬学会第136年会 25PA-am119S)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画調書の通り実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記に記した通りイナミドのヨード環化反応が中員環である7員環合成に適用できることを明らかにしたので、今後は合成がより難しいとされる8員環エーテル合成に挑戦したいと考えている。また、これまでの研究成果を論文として取り纏める予定である。
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Research Products
(15 results)