2015 Fiscal Year Research-status Report
異性化戦略に基づく1,2-cis アミノ糖含有糖鎖合成
Project/Area Number |
15K07882
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
眞鍋 史乃 国立研究開発法人理化学研究所, 伊藤細胞制御化学研究室, 専任研究員 (60300901)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | mycothiol / 異性化反応 / 抗結核 / 化学合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
生合成阻害が抗結核菌治療のターゲットとして期待されているmycothiol の合成を申請者が独自に見出したエンド開裂反応を用いた異性化反応を用いて完了した。mycothiol は、1,2-cis アミノグリコシド結合を有しており、エンド開裂反応を合成的有効性を示すことが全合成を通して可能となる。エンド開裂反応により、既存の1,2-trans グリコシド結合を1,2-cis グリコシド結合へと変換することが可能である。
イノシトールをベンジル基で適宜保護し、光学分割を行った。1,2-trans グリコシドを合成することを目的として、2位アミノ基をフタルイミド基、水酸基を適宜保護したアミノ糖を糖供与体、保護イノシトールを糖受容体としてグリコシル化を行った。得られた1,2-trans グリコシドの保護基を変換し、N-アセチル2,3-trans カーバメート基を導入した後、酸性条件において異性化反応を行った。異性化反応において完全に1,2-cis 体へと変換された。さらに、システイン部の導入、脱保護を行い、mycothiolを得た。本合成により、容易に数百mg 単位でのmycothiolの合成を行うことが可能となった。 また、N-アセチル2,3-trans カーバメート基を持つ糖供与体の保護イノシトールへの直接1,2-cis 選択的グリコシル化反応を行い、エンド開裂反応による異性化反応との効率の比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の合成目的化合物のひとつであるmycothiolの合成を完了できた。同時にエンド開裂反応の生理活性糖鎖の合成においての有用性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
エンド開裂反応が生理活性を持つ糖鎖の合成に有用であることが示された。 さらに、エンド開裂反応を用いた1,2-cis アミノグリコシドを含む生理活性を持つ糖鎖についての合成を行う。
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Causes of Carryover |
研究の迅速化のため、輸入を要する試薬を使用する計画としていたが、欠品であったため、合成したため、予定よりも消耗品経費が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に国際学会での発表を準備しており、その旅費として充当する予定である。
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