2015 Fiscal Year Research-status Report
膜タンパク質再構成マトリックスにおける部分フッ素化蛍光色素の開発
Project/Area Number |
15K07883
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高木 俊之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 創薬基盤研究部門, 主任研究員 (10248065)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フッ素化脂質 / 蛍光色素 / 膜タンパク質 / ベシクル |
Outline of Annual Research Achievements |
膜タンパク質を安定に機能発現させる、その舞台となる脂質膜(マトリックス)が重要であり、天然脂質に見られる機能を積極的に抽出して設計・合成した人工脂質から、これを構造素子としたベシクル膜や平面膜を調製しなければならない。人工脂質には、膜流動性、膜タンパク質組み込みと安定化、溶質流出入の抑制、物理的・化学的な安定性を付与することが不可欠である。近年開発した人工脂質の部分フッ素化は、物理的・化学的にも安定かつ膜タンパク質の組み込みにも有用であることがわかってきた。より最適な人工脂質・膜タンパク質複合体構築に向けた高配向秩序で適度な膜流動性を有する人工脂質膜開発を目的とし、部分フッ素化人工脂質から成る分子集合体(二分子膜)の基盤情報(膜流動性)を取得すべく部分フッ素化蛍光色素を開発する。 これまで開発した炭素鎖数14(ミリスチン酸)および18(ステアリン酸)のホスファチジルコリンを基本骨格とする部分フッ素化人工脂質から成る二分子膜は、膜タンパク質機能の解析ツールとして有望と考えている。そこで膜タンパク質再構成に必要な膜流動性情報を取得するため、部分フッ素化人工脂質から成る二分子膜に特化した蛍光色素を新規に設計し、合成経路の検討を行った。現段階で出来る限り既知中間体を経由させた合成経路を見出しており、フッ素導入量および蛍光標識部導入の検討も行った。さらに膜流動性を高める不飽和結合の導入の検討も行える合成経路ではあるが、今後の進行状況に応じ、適宜変更可能な合成経路を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
部分フッ素化人工脂質から成る二分子膜に特化した蛍光色素を新規に設計し、合成経路の検討を行った結果、現段階で出来る限り既知中間体を経由させた合成経路を見出すことに成功している。この合成経路は、膜流動性を高めることが可能な不飽和結合の導入にも応用可能であり、種々の炭素骨格を有する部分フッ素化蛍光色素化合物を今後の進行状況に応じ合成することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の見出した合成経路を基に、部分フッ素化蛍光色素およびその比較対象となる炭化水素系蛍光色素の大量合成(膜流動性評価に必要な量)を行う。また、膜流動性評価の検討により得られた結果はフッ素含有量、不飽和結合の有無、蛍光色素の変更などの分子設計にフィードバックさせる。改良を重ねることで部分フッ素化人工脂質から成る二分子膜に最適な部分フッ素化蛍光色素を見出していく。
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Research Products
(8 results)