2016 Fiscal Year Research-status Report
天然変性蛋白質PQBP1のスプライシング調節機能の解明
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15K07886
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
水口 峰之 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (30332662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
帯田 孝之 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 准教授 (30578696)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 天然変性蛋白質 / 相互作用 / アロステリック効果 / NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
PQBP1は小さく折りたたまれたWWドメイン(WWD)とYxxPxxVLモチーフを含む天然変性領域からなり、スプライシング調節因子WBP11やスプライソソーム構成因子U5-15kDに結合する。WBP11に結合するWWDはPQBP1のN末端側に位置し、U5-15kDに結合するYxxPxxVLモチーフはPQBP1のC末端領域に位置している。昨年度の研究によって、我々はWBP11がPQBP1のWWDに結合すると、PQBP1のYxxPxxVLモチーフとU5-15kDの結合親和性が低下することを表面プラズモン共鳴実験で明らかにした。これは、PQBP1とU5-15kDの結合が負のアロステリック効果によって制御されていることを示唆している。今年度は、この負のアロステリック効果をNMR法を用いて検証した。まず、U5-15kD(4-137)の15N/13C標識体を作成し、CBCACONH, CBCANH等の多核多次元NMRスペクトルを測定し連鎖帰属を行った。測定は、Bruker Avance 800 NMR装置を用いて、37oC、pH 7.5の条件で行った。そして、(1) 0.1 mM 15N標識U5-15kDのみのサンプル、(2) 0.1 mM 15N標識U5-15kDと0.08 mM PQBP1を含むサンプル、(3) 0.1 mM 15N標識U5-15kD, 0.08 mM PQBP1, 0.43 mM WBP11(455-469)を含むサンプルの1H-15N HSQCスペクトルを測定し比較した。その結果、PQBP1がU5-15kDに結合することによってU5-15kDのVal81やIle90等のNMRシグナルの強度が減少するが、過剰量のWBP11(455-469)を加えるとこれらのNMRシグナルの強度が回復することがわかった。Val81とIle90はPQBP1結合表面の近くに位置する。また、WBP11がU5-15kDやPQBP1のC末端領域に結合しないこと等を確認し、結合親和性の低下が競合的結合に由来する可能性を排除した。以上より、表面プラズモン共鳴とNMRの二つの手法を用いて、WBP11とPQBP1-WWDの結合によってPQBP1とU5-15kDの結合親和性が低下することが示された。これらの結果から、我々はPQBP1とU5-15kDの結合が負のアロステリック効果によって制御されていると結論づけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表面プラズモン共鳴とNMRの二つの手法を用いて、PQBP1とU5-15kDの結合が負のアロステリック効果によって制御されていることを明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
過去の研究から、U5-15kDに結合するのはPQBP1のYxxPxxVLモチーフであることがわかっている。しかし、YxxPxxVLモチーフ周辺のアミノ酸残基がU5-15kDとの結合に影響を与えている可能性も否定できない。PQBP1とU5-15kDの結合を詳細に明らかにするためには、YxxPxxVLモチーフ周辺のアミノ酸残基に変異を導入し、PQBP1とU5-15kDの結合がどのように変化するのか調べる必要がある。
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