2015 Fiscal Year Research-status Report
標的/酵素特異性ハイブリッド型近赤外蛍光イメージング製剤の開発とがん診断への応用
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15K07896
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
清水 広介 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (30423841)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イメージング / がん / リポソーム / ターゲティング / DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、カテプシンBにて切断される機能性ペプチドをインドシアニングリーン(ICG)2分子間のリンカーとして組み込んだアクチベータブル近赤外蛍光プローブ(P-ICG2)のリポソームへの封入法の開発、ならびにがん細胞内における蛍光スイッチ機能の評価を行った。P-ICG2のリポソームへの封入は、リポソーム内外のpH勾配を利用したリモートローディング法を用いた。中性リン脂質であるジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)とコレステロールを構成脂質とするリポソームへの封入を試みたところ、粒子径約140 nm、ゼータ電位ほぼ中性のP-ICG2封入リポソーム(P-ICG2-Lip)を得ることに成功した。また調製したP-ICG2-LipのICG由来の蛍光は、水溶液中では同モル濃度のICG単独に比べて非常に低く、界面活性剤存在下にて約15倍高くなることが示されたため、蛍光スイッチ機能を保持していることが示唆された。実際、ヒト線維芽肉腫細胞HT1080、ヒト肺がん細胞A549にP-ICG2-Lipを添加し、その後の蛍光強度を経時的に測定したところ、両細胞存在下において蛍光強度が上昇することが明らかとなった。またこの蛍光強度の上昇は、カテプシンB存在下にて抑制されることも示された。一方がん標的化リポソームの開発を目的に、リポソーム蛍光標識試薬DiIC18にて標識したAsp-Gly-Arg (NGR)ペプチド修飾リポソームのHT1080細胞への標的性を確認したところ、未修飾のリポソームに比べて、NGRペプチド修飾リポソームにおいて有意に細胞に結合していることが示された。以上の結果から、平成27年度研究期間において、がん細胞内において蛍光スイッチがオンになるアクチベータブル近赤外蛍光プローブ内封リポソームの開発、ならびにそのリポソームへのがん標的性の付与に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究実施計画では、カテプシンBによって酵素特異的に蛍光スイッチ機能を示すアクチベータブル近赤外蛍光プローブのリポソームへの封入法の確立、ならびにその製剤的な評価を行うことを目的としていた。結果的に研究期間内において、がん細胞内においてカテプシンB酵素依存的に蛍光スイッチがオンとなるアクチベータブル近赤外蛍光プローブ内封リポソームの開発に成功し、またリポソームにNGRペプチドを修飾することで、がん標的性を付与できることも確認した。よってアクチベータブル蛍光プローブ内封リポソームの酵素特異性、リポソームのがん標的性のそれぞれについては目的を達成することができたため、おおむね順調に進んでいると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度以降においては、2つの機能(カテプシン酵素特異性、がん標的特異性)を組み合わせた製剤(がん標的化P-ICG2封入リポソーム)を用いてがん細胞を用いたインビトロの様々な検討(蛍光強度測定、細胞内挙動、標的特異性評価等)を行うとともに、担がんマウスを用いたインビボへのがんイメージング診断への応用展開を考えている。
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