2017 Fiscal Year Annual Research Report
Structural basis for auto-inhibition mechanisms of MAP2K
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15K07897
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
木下 誉富 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90405340)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | MAP2K7 / アロステリック阻害 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
MAP2Kキナーゼ(MAP2K1~MAP2K7)はそれぞれ細胞増殖やストレス応答に関与しており、その破綻はガンなどの重篤疾患に直結する。キナーゼ創薬において、特異的に作用するATP拮抗阻害剤は得難く、近年ATP結合領域外に作用させる戦略も有効である。本研究ではX線結晶構造解析及び酵素機能解析により、MAP2K7について共有結合性阻害剤の結合様式及び自己阻害機構を明らかにした。 共有結合性阻害剤5Z-7-oxozeaenolはMAP2K7特有のCys218と共有結合していることがわかった。この構造知見により高選択性阻害剤の創出が促進される。 一方、不活性体MAP2K7はATP非結合型の自己阻害構造を有することがわかった。Cys218-Gly147に形成されたn-σ*相互作用がこの構造を安定化している。その結果として、ATP結合部位が閉じて極端に狭くなり、ATPの結合を阻害すると考えられる。実際に、C218S変異体ではATP結合部位が開いた状態に移行する。Cys218は他のMAP2Kには保存されておらず、Cys218を介した自己阻害機構はMAP2K7特有であると結論される。さらに、JAXAの協力のもとで国際宇宙ステーション「きぼう」において高品質化C218S結晶を調製し、1.3Åという高分解構造解析に成功した。得られた高精度構造から、C末端配列が関与する、Cys218が関与する機構とは異なるアロステリック活性制御機構が明らかとなった。この知見に基づき設計したペプチド化合物は野生型MAP2K7に酵素阻害活性を示す。 申請者らはMAP2K1 (MAP2K2), MAP2K4, MAP2K6の自己阻害機構が互いに異なることを示しており、これらと本研究成果を基盤として、各MAP2Kを分子標的とした高選択性阻害剤を創出していく。
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