2015 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー型認知症の改善作用を伴った新規糖尿病治療薬のイン・シリコ分子設計
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15K07900
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
合田 浩明 昭和大学, 薬学部, 教授 (60276160)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | SHIP2 / 阻害剤 / 糖尿病 / アルツハイマー型認知症 / ドラッグデザイン / 分子ドッキング計算 / 結合自由エネルギー計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、最近、SHIP2触媒ドメインの大量発現系の構築、及びSHIP2阻害剤探索のためのSHIP2アッセイ系の構築に成功した。しかし、同一化合物においても、得られるIC50値が測定の度に大きくばらつくという問題があった。そこで、安定したIC50値が得られるようにアッセイ系の条件の最適化を行った。様々な条件を検討したところ、以下のような手順により安定したIC50値が得られるようになった。 ①先ず、アッセイ用プレートのウェル内で精製したSHIP2触媒ドメインとSHIP2阻害能を測定したい対象化合物を混和し、室温で2時間静置する。 ②次に、基質であるIns(1,3,4,5)P4(Inositol 1,3,4,5-tetrakisphosphate)をウェルに加え、室温で20分静置する。 ③5%トリクロロ酢酸を加えることで反応をストップさせる。 ④基質から遊離したリン酸を、マラカイトグリーンを用いた比色法により検出する。 以上の手順の中で、安定したIC50値を得るために最も重要だった点は、「SHIP2触媒ドメインと対象化合物を混和して長時間静置すること」であった。このことは、SHIP2は阻害剤と結合する際にInduced-Fit(誘導適合)のような大きな構造変化を起こす可能性があることを示唆している。また、既知SHIP2阻害剤であるAS1949490についても文献で報告されているIC50値を再現できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SHIP2アッセイ系の条件最適化により、我々は、候補化合物について信頼できるIC50値を測定できるようになった。今後、この安定したSHIP2アッセイ系を用いることで、効率的な新規SHIP2阻害剤の開発が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
SHIP2アッセイ系の条件最適化により、候補化合物の信頼できるIC50値が測定できるようになった。また、我々は、我々が新たに創製した新規SHIP2阻害剤CPDA(N-[4-(4-Chlorobenzyloxy)Pyridin-2-yl]-2-(2,6-difluorophenyl)-acetamide)に関して、最近、複数の誘導体を合成した。そこで、構築したアッセイ系を用いて、これら誘導体のSHIP2阻害能評価を行う。そして、その結果に基づいて、構造活性相関解析を実施する予定である。 また、SHIP2選択性を有する新規阻害剤探索のためにイン・シリコスクリーニングを行う予定である。
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