2016 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー型認知症の改善作用を伴った新規糖尿病治療薬のイン・シリコ分子設計
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15K07900
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
合田 浩明 昭和大学, 薬学部, 教授 (60276160)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | SHIP2 / 阻害剤 / インシリコスクリーニング / ファーマコフォア / 分子ドッキング計算 / 結合自由エネルギー計算 / 糖尿病 / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
SHIP2と既知阻害剤CPDAの複合体モデル構造を用いたイン・シリコスクリーニングを行った。先ず、SHIP2とCPDAの結合様式モデルに基づいて、SHIP2との相互作用に重要と思われるファーマコフォアをCPDA上に定義し、それらの立体配置までを含めた3次元ファーマコフォアモデルを作成した。次に、プログラムUnityを用いて、この3次元ファーマコフォアモデルを満たすことのできる化合物をナミキ商事の化合物データベースからスクリーニングし、得られた化合物の中からリード化合物ライクネスの指標であるOpreaスコアを満たすものを一次候補化合物群として選択した。さらに、プログラムGlideを用いた分子ドッキング計算によりGlideスコアが上位の化合物を選択し、選択された化合物についてMM-GBSA法を用いた結合自由エネルギー計算を行い、得られた結合自由エネルギーが上位の化合物を二次候補化合物群とした。最後に、二次候補化合物群の化学構造に基づいたクラスター解析を行い、購入すべき代表二次候補化合物群(全12化合物)を決定した。 購入した12化合物について、3T3-L1脂肪細胞を用いたAktのリン酸化を指標としたセルベースの評価を行った。その結果、2つの化合物において、SHIP2阻害に由来すると思われる明瞭なインスリンシグナル増強作用が確認された。また、この2つの化合物のインスリンシグナル増強作用は、既知阻害剤CPDAと同程度あるいはそれ以上であることが示唆された。 既知阻害剤CPDAと異なる骨格を有し、同程度あるいはそれ以上の強いインスリンシグナル増強作用を有する化合物の同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既知阻害剤CPDAと異なる骨格を有し、同程度あるいはそれ以上の強いインスリンシグナル増強作用を有する化合物の同定に成功した。ただ、現在のところ、これらの化合物のSHIP2阻害能の確認に手間取っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築したSHIP2アッセイ系では、基質としてIns(1,3,4,5)P4(Inositol 1,3,4,5-tetrakisphosphate)を用いていた。SHIP2の生体内の基質がリン脂質PIP3であることを考えると、PIP3の脂肪酸に相当する原子団が欠けているIns(1,3,4,5)P4では、化合物のSHIP2阻害能を見落とす可能性が考えられた。そこで、脂肪酸に相当する原子団を有する基質を用いたアッセイ系の構築を再び試みる必要がある。 また、新たに同定したヒット化合物の構造最適化を試みる。
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