2016 Fiscal Year Research-status Report
振動分光法による分子配向性ハイブリッド骨細胞スキャホールドの非破壊生体活性評価
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15K07902
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
大塚 誠 武蔵野大学, 薬学研究所, 教授 (90160548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 哲朗 静岡大学, 電子工学研究所, 特任教授 (20321630)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨組織再生医療 / 薬剤徐放化マテリアル / 有機・無機複合化マテリアル / In-vitro放出試験 / 亜鉛徐放化マテリアル / 骨系細胞スキャホールド |
Outline of Annual Research Achievements |
薬物徐放が可能なポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)をキャリアとして、骨形成効果を有するシンバスタチン(SMV)を封入したPLGAマイクロ粒子(MSPs)を調製した。骨親和性を有する炭酸含有アパタイトにMSPを充填したMSPs/CAPを開発した。また、比較対照として、直接SMVをCAPに含有したSMV/CAPを調製し、各複合体のin vitro及びin vivoにおける骨形成能を評価した。まず、O/Wエマルション法を用いて、MSPsを調製した。CAPは、アパタイトセメントにNa2CO3を用いて、練合後24時間100%湿度下で自己硬化させ調製した。このCAP中に、SMV及びMSPsを充填し、それぞれSMV/CAP及びMSPs/CAPを作製した。物性評価はX線回折法及びFT-IR法を用いて行った。また、疑似体液(SBF)中での溶出試験を行い、SMVの溶出メカニズムを解明するため、各複合体の溶出モデル解析を行った。さらに、マウス由来骨芽細胞様細胞を用いて、各複合体の細胞増殖能及び分化能の評価を行った。そして、ラットの卵巣摘出した骨粗鬆症モデルを作製後、頭蓋冠欠損部位での各複合体の新生骨形成効果を調べた。MSPsはSBF中で約1か月間SMVを放出した。MSPs/CAPは、MSPsと比較して有意に初期バースト効果が抑制され、SMVの0次放出を示した。一方、SMV/CAPは約2週間でSMVを放出した。MC3T3-E1細胞試験では、CAP 存在下で有意に増殖することが示唆された。一方で、MSPs/CAPが有意に分化促進しており、SMV徐放能が細胞分化能に寄与していることが示唆された。以上から、MSPs/CAPは、元来の骨セメントの骨結合誘導能に加えて、骨形成効果を有するSMVを徐放することで、骨再生に有利な環境を作り出していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の原著論文2報と学会報告5報を研究報告したことから、概ね計画とおりである。 原著論文、1.齊藤花江,他4名, シンバスタチン含有ゼラチン・ハイドロキシアパタイト球形顆粒の開発とシンバスタチンの放出制御, バイオインテグレション学会誌、6(1),(2016).2.T. Terukina, 他4名, "Development and effect of a sustainable and controllable simvastatin-releasing device based on PLGA microspheres/carbonate apatite cement composite: In vitro evaluation for use as a drug delivery system from bone-like biomaterial." Journal of Drug Delivery Science and Technology 37 74-80 (2017). 学会発表、1.T. Terukina, 他3名, AAPS, 2016年11月13日,Denver, Colorado、2.照喜名孝之,他4名, バイオマテリアル学会,2016年11月22日,福岡、3.Hanae Saito, 他4名, Asian NIR symposium, 2016年12月1-2日,鹿児島、4.照喜名孝之,他4名, 第7回バイオインテグレーション学会、2017年3月10日、仙台、5.齊藤花江,他4名, 日本薬学会 第137年会,2017年3月24-27日,仙台。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度以下の研究を推進する。 骨再生足場材料への応用を目指した低温焼結PLGAマイクロスフェア(MS)の開発 Ca2+供給源であるナノアモルファスハイドロキシアパタイト(nano-HAP)と、骨形成促進効果を有するSimvastatin(SIM)をポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)に封入したnano-HAP・SIM封入PLGAMS(nano-HAP/SIM/PLGAMs)を調製し、低温焼結した足場材料の有用性を、in vitroにおいて評価する。 細胞送達キャリアとしての多機能性アルギン酸(AL)ビーズの開発 我々は、骨欠損部において骨芽細胞を生体内で安定に長期間機能することが可能な細胞送達キャリアの粒子設計を行った。ALはCa2+などの二価カチオンでゲル化するが、Na+存在下ではゾル化する。この性質を利用し、ALビーズ内部からCa2+供給源である各種リン酸カルシウム(CaP)シンバスタチン(SIM)含有PLGAナノ粒子及びマイクロ粒子を封入し、薬物徐放可能で病態応答性のあるALビーズの細胞送達キャリアとしての有用性をin vitroにおいて評価したい。次に、各PLGA粒子を封入したALビーズをSBF中で溶出試験を行い、病態応答性細胞送達キャリアとしての応用を目指す。
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Causes of Carryover |
実験が予想以上に成功したので、実験数が減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞実験や動物実験数を予定よりも増やす予定です。
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Research Products
(8 results)