2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞外α-シヌクレインによるS1P受容体シグナル伝達抑制機構の解析
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15K07930
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡田 太郎 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (80304088)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | スフィンゴシン1-リン酸 / S1P受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外α-synuclein(ASN)による スフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体-G タンパク質の共役阻害(アンカップリング)現象について、その詳細を検討した。ドパミン系神経細胞モデルとして広く用いられているSH-SY5Y細胞にはS1P受容体としてS1P1受容体とS1P2受容体が発現しているが、ASNはS1P1受容体とGタンパク質との共役のみを特異的に阻害し、S1P2受容体の情報伝達には全く影響しないことが明らかとなった。また、この特異的S1P1受容体遮断によって、増殖刺激時のSH-SY5Y細胞における低分子量Gタンパク質Racの活性化が強く抑制され、これにより細胞外ASNが細胞遊走を抑制することも明らかにした。以上の結果は2報の論文として発表した(Okada T, Hirai C, Badawy SM, Zhang L, Kajimoto T, Nakamura SI. Sci Rep. 2016 Nov 25;6:37810., Zhang L, Okada T, Badawy SM, Hirai C, Kajimoto T, Nakamura SI. Sci Rep. 2017 Mar 16;7:44248.) さらに、S1P1受容体とGタンパク質の共役が阻害される現象について検討する中で、ASNがS1P1受容体のパルミトイル化に影響を与えていることが明らかとなった。すなわち、S1P1受容体をパルミトイル化する酵素が細胞外ASNのターゲット分子である可能性が高いと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、細胞外ASNによるS1P受容体の機能阻害について、その詳細について検討を行い、S1P1受容体に特異的な現象であることを見いだして論文として報告している。神経細胞においてS1P受容体が重要な機能を果たしていることは既に我々が報告していることから、今回の結果はパーキンソン病におけるASNの役割という点で、きわめて重要な知見であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞外ASNによるS1P1受容体特異的なGタンパク質との脱共役について検討する中で、ASNがS1P1受容体のパルミトイル化に影響を与えることを見いだした。すなわち、細胞外ASNはパルミトイル化酵素を直接阻害している可能性がある。今後、S1P1受容体をパルミトイル化する酵素を同定し、その酵素に対するASNの作用を検討する予定である。
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