2015 Fiscal Year Research-status Report
前立腺幹細胞抗原(PSCA)を分子標的とする膵臓癌の創薬基盤の構築
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15K07942
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高橋 哲史 北里大学, 薬学部, 助教 (40449004)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膵臓癌 / 3次元培養 / PSCA |
Outline of Annual Research Achievements |
膵臓癌における前立腺幹細胞抗原PSCAの発現制御機構を解析するにあたり、十分にPSCAが発現する膵臓癌細胞を用いることが必要である。PSCAは膵臓癌組織で高発現すると報告されている。しかしながら一方で、通常のプラスチックプレート上で膵臓癌細胞株を培養した時に、その発現レベルが非常に低いことが知られている。そのため、本研究ではまず肝臓転移膵臓癌細胞株KMP2を用い、低吸着プレートを用いた3次元(3D)培養がPSCA発現に及ぼす影響について検討した。KMP2細胞を低吸着プレートで培養した結果、比較的均一なスフェロイドの形成が認められた。そこで同細胞を通常のプラスチックプレートおよび低吸着プレートで1週間培養した後、定量的RT-PCR法にてPSCAの遺伝子発現を比較検討した。その結果、低吸着プレートを用いた3D培養により、PSCAのmRNA発現は37.8±3.6倍有意に増加した。さらにウエスタンブロッティングを用いてPSCA蛋白質の発現を解析した結果、mRNAと同様に3D培養により有意な蛋白質発現増加が認められた。また、3D培養で発現誘導が認められたPSCA蛋白質は、本来の推定分子量約13KDaにもかかわらず、ウエスタンブロッティングにおいて35KDa付近にブロードなバンドとして検出された。そこで3D培養したKMP2細胞の蛋白質抽出物をN-グリコシダーゼ処理し、ウエスタンブロッティングを行った結果、PASA蛋白質は13KDa付近にシャープなバンドで検出された。以上の結果から、3D培養はKMP2細胞における修飾PSCA蛋白質の発現を誘導することが明らかとなった。本培養系は、膵臓癌細胞におけるPSCAの発現制御機構の解析を行う上で、有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PSCAの発現調節機構の解明が本研究の主目的であるが、一番重要であるPSCAが高レベルで発現誘導される膵臓癌細胞の培養条件の確立に成功した。今後、確立した培養法を用いてPSCAの発現調節機構の解析が可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
プラスチックプレートおよび低吸着プレートで培養したKMP2細胞のRNAを用いてマイクロアレイを行い、PSCAと同様に3D培養で発現誘導される遺伝子をピックアップする。さらに、ピックアップされた遺伝子を発現抑制し、PSCAの発現に及ぼす影響について検討する。
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