2016 Fiscal Year Research-status Report
前立腺幹細胞抗原(PSCA)を分子標的とする膵臓癌の創薬基盤の構築
Project/Area Number |
15K07942
|
Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
高橋 哲史 横浜薬科大学, 薬学部, 講師 (40449004)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 膵臓がん / PSCA / 3D培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の検討により、肝臓転移膵臓がん細胞株KMP2を、低吸着プレートを用いた3次元(3D)培養を行うことにより、前立腺幹細胞抗原PSCAを高産生する細胞へ誘導できることが明らかとなった。また研究代表者は、以前の検討より胃粘膜細胞においてNumbタンパク質がPSCAの発現を制御すると報告している(PLOS one 2013)。そこで本研究では、KMP2細胞において、PSCAと同様に3D培養時に発現誘導される遺伝子の探索を目的とし、マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を行った。さらに、PSCAを含む3D培養時に発現誘導される遺伝子について、発現制御に及ぼすNumbタンパク質の影響について検討した。 マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析の結果、プラスチック培養時に比べ3D培養時において2倍以上発現誘導が認められた遺伝子として、1789遺伝子がピックアップされた。さらにこれら遺伝子について、既報のヒト膵臓がん組織における遺伝子発現解析の結果と比較解析した。その結果、膵臓がん組織と共通に遺伝子発現誘導される31遺伝子を得た。これらの遺伝子のうち、14遺伝子について、転移膵臓がん特異的な遺伝子発現誘導が認められた。 3D培養したKMP2において、レンチウイルスを用いてNumbタンパク質の発現をノックダウンした結果、コントロールに比べPSCA mRNAの有意な発現上昇が認められた。さらに、マイクロアレイでピックアップされた14遺伝子についても同様な検討を行った結果、4つの遺伝子について、PSCAと同様にNumbノックアウト細胞で有意な遺伝子発現上昇が認められた。 本研究から、通常、Numbタンパク質により抑制的に発現制御されているいくつかの遺伝子が、転移膵臓がんにおいてNumbの発現が低下することにより、その発現が上昇することが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度構築した3D培養系を利用し、PSCAの発現調節機構因子であるNumbを同定出来た。さらに、転移膵臓がんにおいて、PSCAと同様にNumbにより制御させる遺伝子についても同定出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
Numbタンパク質にはスプライシングバリアントが存在するため、NumbによるPSCAの発現抑制機構における各スプライシングバリアントの特異性について検討を行う。また、その際、PSCAの5’-日翻訳領域に存在するSNPの影響についても合わせて検討を行う。また、PSCAを含む転移組織特異的な発現をする遺伝子について、その生物学的影響について検討を行う。
|
Research Products
(3 results)