2015 Fiscal Year Research-status Report
アンジオテンシンIIのRhoキナーゼ系を介した血管収縮・弛緩機構の解明
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15K07984
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
屋山 勝俊 神戸学院大学, 薬学部, 准教授 (30248108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 章 神戸学院大学, 薬学部, 助教 (40598380)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アンジオテンシン / Rhoキナーゼ / ミオシン軽鎖ホスファターゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
アンジオテンシンⅡ(Ang II)のAng IIタイプ1(AT1)受容体を介した血管収縮にはRho-キナーゼ系が重要であることが明らかとなってきた。そこで、Ang IIのAT1受容体を介した血管収縮へのRho-キナーゼの関与をRho-キナーゼ阻害剤を用いて検討したところ、Ang IIのAT1受容体を介した血管収縮はRho-キナーゼ系がより重要であることがを確認した。次に、Ang IIのAT1受容体を介した血管平滑筋細胞増殖には、ADAM17の活性化を介し、上皮成長因子(EGF)受容体によるシグナル伝達系へと伝えられえることから、Ang IIによる収縮にこの系が関与するかについて検討したところ、少なくとも正常動物におけるAng IIのAT1受容体を介した血管収縮はADAM/EGF系の関与は少ないかあるいはほとんど関与していないとの結果が得られた。次に、Ang IIのAT1受容体を介した血管収縮にMAPキナーゼ系が関与しているかを確認したところ、Ang IIによる収縮の一部にMAPキナーゼ系が関与していることを認めた。さらに、Rhoキナーゼの活性化はミオシン軽鎖ホスファターゼ(MLCP)の構成サブユニットであるMYPTのリン酸化を介したMLCP不活化によることを確認した。加えて、MAPキナーゼ系の活性化は、EGF受容体シグナルにより起こることから、Ang IIによりMAPキナーゼ系(Erk1/2、JNK、p38)の一因子、Erk1/2の収縮及びリン酸化にAng IIが関与しているかを検討したところ、Ang IIは、Erk1/2を活性化しており、この活性化がRhoキナーゼ系を介したMLCPの不活性化に関与していることを確認した。現在、この系の活性化機序が正常動物と高血圧動物の間において違いが認められているかにつき検討を加えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高血圧モデル動物における解析に若干の遅れが認められるものの、研究はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究結果を基に、高血圧ラット血管標本におけるAng IIのAT1受容体刺激によるErk1/2、Rhoキナーゼ経路を介した血管収縮及び各経路の活性化ついて、高血圧モデル動物、即ち2K1C高血圧モデル、本態性高血圧モデル、大動脈狭窄モデル圧負荷血管において、正常時と比べ、収縮、EGF受容体系、MAPキナーゼ系、Rhoキナーゼ系に変化が認められるかを検討する。また、EGF経路の活性化はその下流に位置するMAPキナーゼ系の活性化を誘導するから、Ang IIのAT1受容体を介したEGF経路、MAPキナーゼ経路の活性化がAng IIの収縮に寄与しているかについてより詳細な検討を行う。すなわち、Erk1/2以外、p38やJNKの活性が血管腫宿に関与するかについて検討を加える。加えて、Ang II によるRhoキナーゼの活性化にJAKが関与しているとの報告がある。しかしながら、JAK活性化の経路及びJAKがどのような因子を活性化するかについては明らかにされていないことから、JAK活性化の経路ならびにMAPキナーゼ系との関わりにについても検討を加える。さらに、申請者等はチロシンホスファターゼの阻害がSrc、EGF受容体を介してRhoキナーゼの活性化をおこし、その結果、血管は収縮することを報告している。そこで、Ang II による収縮にSrcの関与があるかについても検討を加える。また、Ang II による収縮にこれら系の関与が認められた場合、正常血管と高血圧状態下にあった血管との間に違いが認められるかについての検討も加える。
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Causes of Carryover |
前年度、試薬をメーカーキャンペーンを利用し購入したため、定価より安価で購入できたこと。ならびに、校費を単年度で予算を消化しなければならないから、そちらの使用を優先したことにより、科研費(基金)に残額が発生した。。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度からの繰り越し、本年度配当予算、校費を利用し、研究を遂行する。 科研費使用内訳は、消耗品費(試薬代)650,000円、動物代220,000円の予定である。
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