2016 Fiscal Year Research-status Report
植物二次代謝能活性化スイッチとしてのRac型GTPaseの有用物質生産への応用
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15K07990
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
黒崎 文也 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (70143865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 康夫 富山県立大学, 工学部, 教授 (20254237)
荻田 信二郎 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (50363875)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物細胞工学 / 遺伝子組み換え / 有用物質生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
Aquilaria microcarpaは様々な外部刺激を受けた際、その心材が比重の重い組織(沈香)へと変化し、同時にδ-guaieneをはじめとする芳香性セスキテルペン化合物の生合成能力を発現することが知られている。 28年度の実験では、生合成マシナリーの構築を意識して大腸菌を用いたδ-guaiene生産系の構築を試みた。すなわちδ-guaiene synthaseをコードした遺伝子(GS)と、基質供給酵素であるfarnesyl diphosphate synthase遺伝子(FPS)を共発現するベクターを構築し、大腸菌BL21株の形質転換を行った。その結果、FPSのみの発現ではセスキテルペン生成は検出できず、またGSのみでは0.004 μg/mlと、極めて微量の産生能しか見られなかった。これに対して、FPSとGSを共発現させた大腸菌ではδ-guaiene生成量の増加がみられ、富栄養培地としてTerrific brothを使用した場合には0.6μg/ml となった。 テルペン化合物の生合成前駆体の供給系として大腸菌に6種類のメバロン酸経路関連遺伝子を導入・過剰発現し、更に前駆体としてメバロノラクトンを添加したところ、δ-guaiene 生成量が31 μg/mlとなり顕著な活性化が認められた。また、大腸菌に導入するメバロン酸経路関連遺伝子を7種類あるいは8種類とし、前駆体であるメバロノラクトンあるいはリチウムアセテートを培養に添加したところ、δ-guaiene量が35‐42 μg/mlにまで上昇した。このように、大腸菌へのメバロン酸経路関連遺伝子群の導入と前駆体の供給によって、効率良くδ-guaiene を生産するシステムが構築された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
28年度に予定していた情報伝達機構を改編した組み換え体によるGS遺伝子転写活性誘導の実験が27年度内にほぼ完了したため、計画を前倒しして大腸菌によるδ-guaiene生成系の実験に取り掛かり一定の成果を挙げることができた。大腸菌による生成系構築の実験は最終年度である29年度に予定していたものであることから、現在の研究状況は、当初予の計画よりも進んだ段階にあると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
高い効率を有する生合成マシナリーの作製を目指して、大腸菌よりも高生産性が期待される植物細胞を宿主とするδ-guaiene生成系の構築を試みる予定である。具体的には GSとFPS二つの遺伝子を共発現させるためにpRI201系ベクターに組み込み、タバコBY-2株を宿主植物細胞としてこれを導入・過剰発現させる。得られた組み換え体を様々な条件下で培養しδ-guaiene生成活性を比較・検討して、芳香性セスキテルペン高生産システムの作成を試みることを計画している。
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Causes of Carryover |
研究成果発表のためにオープンアクセスジャーナルへの投稿・掲載費用を準備していたが、投稿準備に時間がかかり次年度に持ち越しすることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に論文投稿費用及び論文掲載費用として使用予定である。
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Research Products
(3 results)