2015 Fiscal Year Research-status Report
オンジサポニンの構造多様性を決定する生合成機構と時空間的動態の解析
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15K07992
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
李 貞範 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (40332655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 良美 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (30464027)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遠志 / RNA-seq / サポニン生合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度はイトヒメハギ地上部および地下部からそれぞれmRNAを抽出し、ライブラリを作製した。これらをIllumina MiSeqを用いてシーケンスを76 bp pair-endでその配列を読んだ結果、地上部および地下部それぞれから約20,000,000リードのシーケンシングが行えた。得られたリードはアダプター配列等を除去し、Trinityソフトウェアでアッセブルすることでコンティグを得た。得られたコンティグについて、NrおよびSwissProtデータベースに対してBlast解析するとともに、Pfam-Aデータベースに対して保存されたドメインの検索、SignalPプログラムなどでのシグナル配列の解析など各種in silico解析を実施した。その結果、55,113遺伝子、および70,989転写産物が確認できた。 オンジサポニン類は根で生合成され、根に蓄積することから、それらの生合成に関わる酵素遺伝子は根で発現していることが示唆される。そこで、先の解析結果から根で強く発現しているcytochrome P450 (CYP450) および糖転移酵素(GT)を検索したところ、それぞれ45遺伝子および27遺伝子が候補遺伝子として選別できた。これらについて既知の酵素遺伝子と比較したところ、beta-アミリンからオレアノール酸への酸化反応を触媒すると予想されるCYP716ホモログ、およびトリテルペンノ酸化に関与すると予想されるCYP72ホモログの全長を取得した。また、これらに加えてbeta-アミリン合成酵素遺伝子などトリテルペン生合成に関与する酵素遺伝子も見いだした。 現在、これらの異種発現系を構築し、それらの機能解析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はRNA-Seq解析により今後の研究の基盤となり得るデータを取得することができ、これと併せてオンジサポニン生合成に関与することが予測される種々の酵素遺伝子候補を選抜することができた。また、それらのいくつかについてはクローン化も終了しており、さらにその他のクローニングも順次進めている。 その一方で、植物体の栽培上の問題などからイメージングMSによる解析は進んでいないが、こちらも次年度には着手し、成果を得ることが可能と判断している。従って、本研究の進捗はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在クローン化している酵素遺伝子について、機能解析を精力的に進めるとともに、イメージングMSによるオンジサポニンの分布についての解析を進めていく。 具体的には随時クローン化した酵素遺伝子の機能を異種発現系により解析し、機能の同定を進める。すでに酵素反応の基質であるサポニン類は適宜入手しており、速やかに研究が進んでいくものと考えている。また、植物体もある程度の大きさにまで生長しつつあるので、それらを用いて種々の解析も実行可能である。 次年度は、サンプルの栽培や連携研究者との打ち合わせこれまで以上に密にして、研究をさらに進めていく。
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Causes of Carryover |
試薬類の購入を必要に応じて進めており、予算執行を誠実に行っていたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に必要に応じた試薬の購入に充てる予定である。
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