2016 Fiscal Year Research-status Report
Ⅲ型分泌装置阻害剤のケミカルバイオロジー解析と新たな天然物リガンドの発掘
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15K08001
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
浅見 行弘 北里大学, 感染制御科学府, 講師 (70391844)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | T3SS / 標的分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
特異的に結合する3種類のタンパク質を同定している。一つは既に結合タンパク質として知られているEF-Tuであり、残り二つはタンパク質XおよびYであった(論文未発表のため未記載)。EF-TuがT3SSの発現に関与しているか否かを検証するために、EF-Tu阻害剤として知られているpulvomycinのT3SSによる溶血阻害活性および抗菌活性を調べた。その結果、T3SS阻害剤であるaurodoxと比較し、pulvomycinはtetracyclineと同様な阻害活性プロファイルを示したことから、EF-Tu阻害活性がT3SSの機能に関与しないことが示唆された。次に、標的分子候補タンパク質Xについて、遺伝子欠損株、ベクター相補株、および遺伝子X相補株をそれぞれ作製し、溶血阻害活性およびT3SSを構成する分泌タンパク質であるEspタンパク質群の分泌を検出した。その結果、遺伝子欠損株で溶血活性は消失した。遺伝子X相補株ではその溶血活性は部分的に回復した。さらに、遺伝子欠損株でEspA, B, CおよびDの分泌量は減少していた。遺伝子X相補株ではその分泌量の減少が部分的に回復した。この結果から、遺伝子XがT3SSの発現に関与し、溶血活性を制御していることが初めて明らかとなった。期間内の研究によりEPECの病原性発現に関わる主要な因子として知られているT3SSの阻害剤aurodoxの標的分子の1つを同定し、その遺伝子XがT3SSを構成するEspタンパク質群の分泌を制御することを初めて明らかにした。今後は、遺伝子Xの機能をaurodoxが阻害するか否かを検証する。そして、遺伝子XとT3SS発現およびその機能との因果関係を明らかにすることで、T3SS阻害物質を含めた薬剤の研究開発に有用な知見を得ることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EF-Tu阻害剤として知られているpulvomycinのT3SSによる溶血阻害活性および抗菌活性を調べた結果、T3SS阻害剤であるaurodoxと比較し、pulvomycinはtetracyclineと同様な阻害活性プロファイルを示したことから、EF-Tu阻害活性がT3SSの機能に関与しないことが示唆された。次に、標的分子候補タンパク質Xについて、遺伝子欠損株、ベクター相補株、および遺伝子X相補株を用いた実験により、遺伝子欠損株で溶血活性は消失した。さらに遺伝子X相補株ではその溶血活性は部分的に回復した。さらに、遺伝子欠損株でEspA, B, CおよびDの分泌量は減少していた。遺伝子X相補株ではその分泌量の減少が部分的に回復した。以上の3点の結果から、遺伝子XがT3SSの発現に関与し、溶血活性を制御していることが初めて明らかとなった。これらのことが期間内の研究により明らかになったことで、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、遺伝子Xの機能をaurodoxが阻害するか否かを検証する。遺伝子Xの機能ドメイン解析およびaurodoxが結合する構造ドメインを決定する。さらに、遺伝子XとT3SS発現およびその機能との因果関係を明らかにすることで、T3SS阻害物質を含めた薬剤の研究開発に有用な知見を得ることができると考えられる。また、溶血阻害活性を指標とした微生物培養物サンプルからのさらなるT3SS阻害物質の探索も同時に実施する。以上のことを前提にして最終年度の計画にそって本研究課題を実施する。
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