2016 Fiscal Year Research-status Report
糖代謝異常疾患における医療用漢方製剤の有用性に関する研究
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15K08003
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小池 一男 東邦大学, 薬学部, 教授 (30130363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 巍 東邦大学, 薬学部, 准教授 (90328633)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 医療用漢方製剤 / 糖代謝異常疾患 / 糖尿病 / 抗酸化活性 / 通導散 / 大柴胡湯 / 麻子仁丸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は医療用漢方製剤の糖代謝異常疾患の分子標的に対しての作用を指標として、活性成分および作用機序の解明により、医療用漢方製剤の糖代謝異常疾患への有用性を基礎科学的に明らかにすることを研究目的とする。 前年度に引き続き、抗酸化活性を指標として、内服用医療漢方製剤147処方について、活性酸素吸収能評価試験(ORAC法)、スーパーオキシドアニオンラジカル捕捉活性測定試験(SOD法)、およびDPPHラジカル捕捉活性測定試験(DPPH法)を用いて評価した。ORAC法においては、通導散、麻子仁丸、および大柴胡湯が最も高いORAC値を示した。SOD法においては大柴胡湯、治打撲一方、および通導散が最も高いスーパーオキシドアニオンラジカル捕捉活性を示した。DPPH法においては、麻子仁丸、通導散、および大柴胡湯が、最も高いDPPHラジカル捕捉活性を示した。 さらに、上記抗酸化活性試験において、高い抗酸化活性を示す3処方:通導散、大柴胡湯および麻子仁丸について、ヒト肝がん由来細胞株HepG2細胞を用いて、ROS蛍光プローブであるDCFH-DAを用いた細胞内イメージングにより抗酸化活性を検討した。各漢方製剤は共焦点顕微鏡を用い、H2O2刺激によるDCFH-DA前処理 HepG2細胞内のROS産生の解析を行った結果、いずれも最終濃度10 microUnit/mLにて経時的な蛍光の増強を有意に抑えた。 現在、in vitroで抗酸化活性を示す漢方薬について、in vivoでの作用評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
経口医療用漢方製剤147処方について、糖代謝異常疾患の起因である酸化ストレスを考慮して、抗酸化活性を評価した。その結果、3種の漢方製剤:通導散、大柴胡湯および麻子仁丸が高い抗酸化活性を有することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
糖代謝異常疾患に有用な医療用漢方製剤について、病態モデルを用いて薬効を評価していく予定である。
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Causes of Carryover |
おおむね研究計画の通り研究を進めているが、学会参加の旅費を使用しなかったため、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度に生じた残額は29年度の研究費と合わせて、in vivo実験に使用する物品費、動物購入費、試薬購入費に使用する予定である。
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