2017 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of an Antibacterial Compound for Helicobacter pylori
Project/Area Number |
15K08006
|
Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
鰐渕 清史 横浜薬科大学, 薬学部, 講師 (00613663)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増井 悠 横浜薬科大学, 薬学部, 講師 (70714377)
高橋 孝志 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (80110724)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | Helicobacter pylori / ビタミンD3 |
Outline of Annual Research Achievements |
ピロリ菌の感染は、慢性萎縮性胃炎および消化性潰瘍の原因であり、長期間に渡るピロリ菌保菌者では、胃癌を発症するリスクが顕著に高まる。本菌の除菌は、これら消化器病を予防・治療する上で重要であるが、副作用や耐性菌による除菌率低下の問題を抱えている。ピロリ菌を選択的に殺菌し、黄色ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラや緑膿菌などに対しては活性を示さない新規抗ピロリ菌化合物VDP1の発見により、これまで行なわれてきたピロリ菌治療に新たな可能性が示された。このようにIn vitro試験では非常に強い抗ピロリ菌活性を示しているが、「薬」を視野に入れた際には、安全性や安定性、化合物の動態、また副作用など様々な検討が必要となる。現在、抱えている本化合物の一番の問題は様々な検討を行う為の化合物量の供給である。本課題では化合物の誘導化を考慮した効率的大量生産である。VDP1は非常にシンプルな骨格構造をもつ化合物であるが故に、調製の難しい化合物でもある。これまでにビタミンD3の酸化分解により調整していたが、ビタミンD3の熱、光への安定性の問題やトリエン構造による望まない部位での酸化反応の進行などが起き、精製ステップが煩雑となり15%と低収率であった。ビタミンD3のトリエン構造が問題となるため、トリエン構造のA環部位のジエンが副反応を起こす原因であることから、Diels-Alder反応によってジエンをマスクすることを計画し98%と良好な収率で光や熱に安定であり、ビタミンD3よりも水溶性の高いビタミンD3誘導体を得ることに成功した。これを酸化分解することで71%と非常に高収率でVDP1を得ることに成功した。また、本反応の結果から、他に得られる副産物が全て高極性となりVDP1と容易に分割可能であることも明らかとなった。この大量生産から誘導体を合成し、VDP1を超えるピロリ菌活性を示す化合物も得ることができた。
|
Research Products
(6 results)