2016 Fiscal Year Research-status Report
DNAメチル化制御機構を標的にした新規精神疾患治療薬の創薬シーズの探索
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15K08011
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
稲冨 由香 摂南大学, 薬学部, 助教 (00258089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 良太 摂南大学, 薬学部, 助教 (90710682)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / 生理活性物質 / 天然物化学 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAメチル基転移酵素M.SssIとメチルドナーS-アデノシルメチオニンを用いて、前年度までに作製したpbdnf4-lucレポーターコンストラクトのメチル化を行い、レポータージーンアッセイに供した。その結果、プロモーターのメチル化によりルシフェラーゼ活性、すなわち転写活性が減少することを確認した。本結果は、メチル化レポータープラスミドを用いることで、プロモーター脱メチル化活性を有する化合物をスクリーニングできる可能性を示すものである。 また、pbdnf4-lucレポーターコンストラクトをゲノムに組み込んだ神経芽細胞腫由来株化細胞Neuro2Aにおける標的プロモーターのメチル化を試みた。DNAメチル基転移酵素の過剰発現やS-アデノシルメチオニンの添加等、様々な条件を検討したが、一定回数継代を重ねるのみで標的プロモーターのメチル化が効率よく亢進することを見出した。この標的プロモーターのメチル化が亢進した細胞ではルシフェラーゼ活性が著しく減少し、DNAメチル基転移酵素阻害剤である5-Aza-2’-deoxycytidineを添加することにより回復することを確認した。今回見られた標的プロモーターのメチル化の亢進は、外来遺伝子を不活性化する機構によるものだと考えられる。こうした機構によるDNAのメチル化においても脱メチル化が生じる可能性が示されたことから、5-Aza-2’-deoxycytidineをポジティブコントロールとして本アッセイ系を用いることで、プロモーター脱メチル化活性を有する化合物をスクリーニングできると考えられる。 構築したアッセイ系を用いた活性評価の対象として、これまでに報告の少ないイリドイドを含有するモクセイ科、オオバコ科、ノウゼンカズラ科の植物エキスを作成すると共に、ヒノキ科植物よりビフラボノイドやリグナンなどのフェノール成分を単離構造決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精神疾患に関連する遺伝子bdnfのexon 4(bdnf4)のプロモーター領域の下流にレポーター遺伝子を組み込んだpbdnf4-lucレポーターコンストラクトを作製し、天然化合物の脱メチル化活性の評価法としてレポータープラスミドを用いたルシフェラーゼアッセイとレポーター遺伝子をゲノムに組み込んだ細胞を用いたルシフェラーゼアッセイを構築した。活性試験の評価対象としてモクセイ科、オオバコ科、ノウゼンカズラ科、ショウガ科、シソ科の植物エキス80種を作成すると共に、ヒノキ科植物よりビフラボノイドや新規リグナンなどのフェノール成分を単離構造決定した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に作製した2つのアッセイ系を用いて、所有する植物エキス、化合物ライブラリーをスクリーニングし、DNA脱メチル化活性を有する化合物を探索する。 活性がみられた植物エキスについては、カラムクロマトグラフィー及び高速液体クロマトグラフィーを用いて活性成分の単離を行う。単離化合物の化学構造は、NMR(核磁気共鳴)、MS(質量)、IR(赤外線吸収)、UV(紫外線吸収)、CD(円二色性)などのスペクトルデータの解析、必要に応じ化学反応を行い、化学的、物理学的な考察を加えて化学構造を明らかにする。また、配糖体成分から加水分解によって得られるアグリコン、化学反応による誘導化や構造変換を行って作成した含有成分のアナログも活性評価の対象としてスクリーニングをすすめる。
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Causes of Carryover |
本研究課題が平成27年度の追加採択であり、補助金の使用が平成27年12月からであったので、初年度に全額を使用して研究を遂行することが困難であり、本年度も昨年度からの繰越金が多く次年度に繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度に計画していた活性評価法の構築に昨年度までかかっていたので、本年度は化合物のスクリーニングを中心に行う予定である。
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Research Products
(1 results)