2015 Fiscal Year Research-status Report
フォールディング異常症治療薬を目指した化学シャペロンの構造活性相関研究
Project/Area Number |
15K08014
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
奥田 勝博 旭川医科大学, 医学部, 助教 (00389115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐能 正剛 広島大学, その他の研究科, 助教 (00552267)
太田 茂 広島大学, その他の研究科, 教授 (60160503)
酒井 規雄 広島大学, その他の研究科, 教授 (70263407)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 化学シャペロン / 構造活性相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学シャペロンとしてのSodium 4-phenylbutyrate(4PBA)の誘導体をデザインし、購入および有機合成することによって38種類の誘導体のナトリウム塩を準備した。それらの誘導体を用いて、モデルタンパク質としてα-lactalbuminを用いたシャペロン活性評価やヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害活性、細胞毒性などを評価し、その知見から新たな化合物のデザインなどを検討した。また、さらに高次の系でのシャペロン活性評価を目的として、ヒト神経芽細胞腫由来細胞SH-SY5Yにtunicamycinを添加して小胞体ストレスを誘導する条件に対し、4PBA誘導体を同時に加えて細胞生存率に与える影響を評価した。さらに変異型のセロトニントランスポーター (SERT)を電気穿孔法によりCOS-7細胞に遺伝子導入・発現させ、更に4PBA誘導体を暴露し、3H標識セロトニンの取込みを定量化することでシャペロン活性を評価した。 その結果、シャペロン活性とHDAC阻害活性、細胞毒性などにおいて4PBAよりも活性が強く有意義な化合物をいくつか見出した。また、シャペロン活性に相関するパラメータや更なるデザインへの知見などをその構造活性相関から得た。細胞系を用いたシャペロン活性評価において、多くの4PBA誘導体は4PBAと異なり、tunicamycinの小胞体ストレス誘導によって減少する細胞生存率の低下を抑制することはできなかったが、4化合物において4PBAよりも強力な活性を示した。SERTのセロトニン取り込み量を指標とした系では、いくつかの化合物が4PBAより強い化学シャペロン活性を有していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構造活性相関のための誘導体の準備と活性評価のための条件検討から実施までおおむね順調に進展している。研究計画に記したフローサイトメトリーでのタンパク質凝集抑制活性の評価は条件検討の段階で適切な評価が難しいと判断し中断したが、その代わりに株化細胞系においてtunicamycinで惹起した小胞体ストレスによる細胞死を抑制する活性を新たな化学シャペロン活性の指標として加えた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り、転写促進遺伝子の探索、タンパク質発現変動の検討およびパーキンソン病モデルマウスin vivo での4PBA 誘導体の活性評価を行う予定である。その他、新たに4PBAの化学シャペロン活性メカニズム解明を試みようと考え、GC/MSを用いたメタボローム解析を視野に入れた準備を進めている。
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Causes of Carryover |
細胞培養用血清やその他のプラスチック器具など旭川医科大学法医学講座で所有していたものを使用したため、平成27年度に予定していた額よりは少なく済ますことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定の物品や細胞培養用血清の追加購入に当てる。さらにGC/MSを用いたメタボローム解析を予定しており、その準備のための試薬や消耗品購入に当てる。
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Research Products
(2 results)