2016 Fiscal Year Research-status Report
マルチテンプレート手法のポリファーマコロジー医薬への応用展開
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15K08015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷内出 友美 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (20401284)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポリファーマコロジー / 構造展開 / 構造活性相関 / ブロモドメイン |
Outline of Annual Research Achievements |
マルチテンプレート手法のポリファーマコロジー医薬への応用展開として、昨年度得られた知見を元に、研究計画第一段階を継続し、BRD4阻害活性化合物の構造活性相関を取得すべく、更なる構造展開及び構造活性相関研究を遂行した (1)。続いて、第二段階であるポリファーマコロジー活性化合物 (多重標的性を有する化合物)への展開として、dual BRD4/HDAC阻害剤の創製に成功 (2)、並行してポリファーマコロジー医薬創製のための標的探索及びそのリガンド創製研究も行った (3)。さらに、第三段階である創製化合物に関わる諸要因の現象的・分子作用レベル的な解析、及び創製し薬理活性が認められた誘導体の各現象に関わる情報伝達系の解析を行った (4, 5)。結果、以下(1)から(5)等の成果を上げた。; (1)N6-Benzoyladenine型およびN6-(heteroarylcarbonyl)adenine型BRD4阻害剤の創製、構造展開及び構造活性相関研究; (2)Dual BRD4/HDAC阻害剤の創製、構造活性相関研究; (3)新規peroxisome proliferator-activated receptor α/δ dual agonist、Acetyl-CoA carboxylase 2 (ACC2)阻害活性を付与したポリファーマコロジー活性化合物、及びアンドロゲン受容体AF-1モジュレーターの創製、構造展開、構造活性相関研究; (4)創製化合物の表現型解析:各種がん細胞増殖阻害活性、生理濃度のall-trans retinoic acid (ATRA)による白血病細胞分化誘導を促進する活性、TNF-alpha産生阻害活性を見出した。; (5)情報伝達系の解析:Myc level抑制、アポトーシス誘導活性 (開裂caspase 3や開裂PARPの検出)の確認。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究で集積したデータ、および今年度新たに創製したBRD4阻害剤に関する構造活性相関データを踏まえることで、研究の第二段階であるポリファーマコロジー活性化合物の創製に成功することが出来た。具体的には、dual BRD4/HDAC阻害剤を創製した。また、創製化合物に関わる諸要因の現象的・分子作用レベル的な解析、および各現象に関わる情報伝達系の解析を行い、一定の解答を得ている。さらに、新たなポリファーマコロジー活性化合物創製に向け、標的タンパク質探索および各種生理活性化合物の創製研究も遂行した。具体的には核内受容体リガンドの創製、およびPPARアゴニスト活性を有するACC阻害剤の創製。以上より、当初の予定通りに研究課題を進展させることが出来ていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度前半は、研究の第二段階であるポリファーマコロジー活性化合物創製研究を継続して行う。標的タンパク質として、核内受容体、アミノペプチダーゼ、ユビキチンリガーゼを検討している。本研究計画の作業仮説構築の基盤になっている事象は、本研究代表者らのこれまでの蓄積した情報や技術によるものであり、また平成27年度及び平成28年度の研究で集積したデータを十分に踏まえた上で行うため、それらを十分に生かして順調に進行させることが出来ると考えているが、仮に計画している標的タンパク質に対してのポリファーマコロジー活性化合物が創製できない場合は適宜軌道修正する。具体的には、キナーゼ阻害剤がBRD4のアセチルリジン認識部位と相互作用するという報告を参考に、標的タンパク質をキナーゼに随時シフトさせる。この場合、BRD4との相互作用が報告されていないキナーゼであるAMP活性化プロテインキナーゼ (AMPK)等へのシフトを考えている。本研究の目的はマルチ創薬手法のポリファーマコロジー医薬への応用展開であるため、この軌道修正も目的達成の一手法となり得、意義のある展開になると考える。また、研究の進捗を観ながら、第三 (最終)段階である創製化合物に関わる諸要因の現象的・分子作用レベル的な解析、ならびに各現象に関わる情報伝達系の解析を検討する。さらに、本年度は最終年度であるため、後半は集積したデータの総合的な情報解析を行い、マルチ創薬テンプレート手法が新たな活性化合物創製手法の創出に先鞭を付けることが出来るか否か等を検証する。
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Research Products
(9 results)