2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K08027
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
梅澤 直樹 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40347422)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポリアミン / 固相合成 / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新規な生理活性ポリアミンの開発である。ポリアミンは、複数のアミノ基がメチレン鎖を介して結合した低分子有機化合物で、あらゆる生物に含まれる生理活性物質である。生理的条件下、ポリアミンは複数の正の電荷をもつため、DNA・RNA・細胞膜・タンパク質などの負電荷をもつ生体高分子と相互作用する。天然のポリアミンの多くは、柔軟な化学構造を持ち、多彩な生理活性を有する。本研究では、ポリアミン骨格に様々な構造制約を導入して、活性および選択性の向上をめざす。 ポリアミンの合成には、ペプチド化学を利用した固相合成を用いる。この合成法では、ペプチドを固相合成した後、固相上で還元してポリアミンとする。一般に、ポリアミンは極性が高く精製が困難であることが多いが、固相合成では、各段階の精製操作が洗浄のみとなり、容易に中間体の精製を行うことができる。またHPLCは極性が高い分子の精製・分析に適しているため、本固相合成法とHPLC精製を組み合わせることで、多様なポリアミン群を簡便に調整することが可能となった。 今年度は、直鎖型、部分構造制約型、分岐型、環状型、などの特徴的主鎖構造を有するポリアミン類を合成し、生理活性の評価を行った。その結果、中程度の酵素阻害活性を有するポリアミンを見出した。当該ポリアミンは特徴的な部分構造を有していたため、「活性に重要な部分構造の同定」および「活性の向上」を目指し、類縁化合物の合成と活性評価を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、特徴的な固相合成法の改良と当該合成法を用いた新規生理活性ポリアミン類の開発である。合成に成功した、特徴的主鎖構造をもつポリアミンを対象に、種々の生理活性を評価した結果、新規な生理活性ポリアミンを見出すことができた。このポリアミンは、現在の固相合成法で容易に合成できたため、合成法の改良に優先して、より強い生理活性を持つポリアミンの開発研究を進めている。そのため、合成法の改良に関する進展は限定的だが、興味深い活性を持つ新規分子を発見できた点、より強い活性を持つ新規化合物の開発が見込める点で、本研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、活性の向上をめざし、見出した母化合物類縁体の合成と活性評価を進める。精密な構造活性相関研究を行うことで、活性に重要な部分構造を同定する。ある程度の強さの活性を持つ分子を開発することができれば、対象酵素との複合体の結晶構造を解明し、その結果に基づいた論理的な構造展開を進める。 生理活性ポリアミンの開発研究と並行して、固相合成法の改良を進める。
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Causes of Carryover |
物品費及び旅費の支出額が、予定よりも少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、平成28年度の物品費及び旅費に充当する。
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Research Products
(6 results)