2016 Fiscal Year Research-status Report
神経変性疾患に対する脂質メディエータの作用機構の解明
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15K08050
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鈴木 健二 立命館大学, 薬学部, 教授 (10187726)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミクログリア / 神経変性疾患 / ケトン体 / 糖尿病 / GPCR / 細胞内情報伝達系 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病はアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の危険因子であるといわれているが、その分子メカニズムについては不明な点が多い。本研究では糖尿病における慢性疾患とその制御に関わる脂質メディエータ(ケトン体と長鎖脂肪酸)及び各標的タンパク質の機能に着目して、情報伝達に関わるネットワーク制御因子を標的とした神経変性疾患に対する新たな治療方策の探索を目指す。ミクログリアによるTLR4刺激によるサイトカイン産生に対するβ-ヒドロキシ酪酸の受容体HCA2(GPR109A)と脂肪酸結合タンパク質(FABP)の作用を分子レベルで明らかにし、免疫応答の制御と神経保護機能への作用を検証する。 ミクログリア細胞株BV-2を 10 ng/mL のリポ多糖(LPS)で刺激し、細胞内タンパク質のリン酸化などを調べた。LPS刺激により、3つのMAPK系(p38、Erk1/2、p-SAPK/JNK)の活性化がみられたが、いずれもβ-ヒドロキシ酪酸の添加による変化は検出されなかった。一方、NF-κB経路の活性化の指標である IκB-αの分解とIKK-α/βのリン酸化を調べたところ、いずれもβ-ヒドロキシ酪酸により抑制されていた。 現在、BV-2におけるこれらβ-ヒドロキシ酪酸の作用を解析するため、野生型及び変異型HCA2発現による効果を検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アレスチンのノックダウンの実験がうまくいっていない。様々な標的配列を試して、より効率の良い発現抑制の条件を見つける。 β-ヒドロキシ酪酸によるサイトカイン産生の抑制効果が、より顕著になる条件を決定して解析を続ける。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA干渉によるβアレスチンをノックダウンし、HCA2によるサイトカイン産生抑制に対する影響を調べる。 野生型及び変異型HCA2によるβヒドロキシ酪酸による免疫抑制効果への影響を、ウエスタンブロッティングやRT-PCRにより解析する。 ミクログリアによる神経変性保護作用をラットPC-12細胞を用いて検証する。
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Causes of Carryover |
試薬や実験機器などの消耗品購入が、予定を若干下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬やプラスチック製品などの消耗品の購入に充当する。
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Research Products
(2 results)