2015 Fiscal Year Research-status Report
LC/高分解能MSによるアンプリコン分析法の開発と有毒生物の種判別への応用
Project/Area Number |
15K08060
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
宮口 一 科学警察研究所, 附属鑑定所, 鑑定官 (10370884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 彦人 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (40392261)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 質量分析 / DNA / フグ / 種判別 / モノリスカラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、液体クロマトグラフィー/高分解能質量分析(LC/HRMS)によって、100 bp前後の比較的短いPCR増幅産物(アンプリコン)の塩基組成を明らかにする方法を新規に開発し、有毒生物の種判別に応用することを目指している。 27年度は以下の研究を行った。 ・分離カラムの検討:市販の3種のカラムについて、アンプリコンの制限酵素切断産物(26-53 bp)を分離するための比較・検討を行った。分離能や分析時間を総合的に評価し、カラムに逆相シリカモノリスカラム、移動相にヘキサフルオロイソプロパノール-トリエチルアミン-メタノールを用いた低温(20 ℃)・高流速(0.4 mL/min)の分離条件を採用した。分析時間は6分(カラム平衡化を含めても8分)であった。 ・高分解能マススペクトルの取得および解析:オービトラップアナライザーを搭載した高分解能質量分析計を用いて、相互に分離した同位体ピークを取得し、それを標準的なDNAの同位体組成でカーブフィットすることにより、オリゴヌクレオチドのモノアイソトピック質量を質量誤差3 ppm未満の精度で正確に求めることに成功した。 ・有毒フグの種判別への応用:フグおよびその他の魚からDNAを抽出し、ミトコンドリア16S rRNA遺伝子の一部(86-115 bp)をPCR増幅および制限酵素処理し、LC/HRMSを行った。その結果、アンプリコンの配列が同一の組み合わせを除き、厚生労働省通知法と同一の結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度に実施予定であった「フグ資料の収集」および「LC/HRMSによるフグ種判別の実施」について、一年前倒しで27年度中に達成することができた。 一方、27年度に実施予定であった「DNA塩基組成決定プログラムの作成」や、27~28年度に実施予定の資料収集については実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
もう一つの目標であるLC/HRMSによる有毒植物種判別法の開発を行うため、植物のDNAバーコーディング法に用いられる座位の中から、短い鎖長から種間の差異が判断できる部位を選定し、PCR条件などの基礎的な検討を行う。併せて、有毒植物の資料収集を研究分担者と共に実施する。 これらと平行して、27年度に実施予定であった「DNA塩基組成決定プログラム」の開発を行う。
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Causes of Carryover |
映像ベースの学術雑誌(J. Vis. Exp.)の投稿料に充当する予定であったが、アクセプトが年度最終日(3/31)までずれ込んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金は上記投稿料のほか、オーストラリアで開催される国際法中毒学会(TIAFT)への渡航・参加費用に充当する予定である。
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