2015 Fiscal Year Research-status Report
がん患者における病期に基づくオピオイドの鎮痛効果および有害作用の変動予測法の構築
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15K08070
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
川上 純一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (50272539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 隆文 浜松医科大学, 医学部附属病院, 副薬剤部長 (80422749)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん病期 / オピオイド / がん悪液質 / 薬物動態 / がん性疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
試験プロトコールを作成する前に、がん病期、臨床症状に基づくがん悪液質の進行度分類(Fearon K, et al. Lancet Oncol 2011;12:489-495)、炎症反応に基づくGlasgow prognostic score(GPS)分類(McMillan DC. Proc Nutr Soc 2008;67:257–262)の関係について、診療録情報をもとに後方視的に調査を行った。その結果、臨床症状に基づくがん悪液質の進行度分類によるRefractory Cachexiaの患者の多くは、GPSの2に分類された。また、Cachexiaに分類される患者には、GPSの1、2の患者が含まれていた。PrecachexiaとGPSの0に分類された患者は、ほぼ同じであった。さらに、オピオイドを服用している対象患者のがん病期の評価を行ったところ、ほとんどの患者が進行がんであり、進行度分類の最終ステージであった。このことから鎮痛薬の薬物動態を評価するためには、オピオイドとともにがん治療早期から進行期への移行期に使用されるトラマドールやプレガバリンの評価の必要性が示された。以上の調査をもとに、本年度では、試験プロトコールを作成し、臨床試験の倫理審査申請を行い、患者登録、薬物動態解析および患者情報の収集を開始した。インフォームドコンセントの得られたがん患者について、薬物血中濃度測定を開始し、目標症例数に到達するまで患者登録を継続する。患者情報の収集については、診療録や疼痛管理記録から情報を抽出し、疼痛管理状況と副作用発現状況についてのデータベースの作成を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
診療録に基づく調査研究を実施し、その結果から臨床試験プロトコールを作成した。平成27年度では、予定されていた臨床試験の倫理審査申請を行い、患者登録、薬物動態解析および患者情報の収集を開始したことから、おおむね順調に研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度については、オピオイドとともに、トラマドールおよびプレガバリンについて、遺伝情報を含めたがん病期、悪液質の進行度に基づく各薬物の体内動態の個人差要因についての解析を行う。特にオキシコドン、フェンタニル、トラマドールでは遺伝的多様性によって、薬物動態が影響を受けることが既に報告されており、それらの影響ががん病期や悪液質の進行度によってどのように変化するか定量的に評価を行う予定である。また、がん患者における臨床症状(中枢性症状)に関しても、引き続き患者情報の収集を行う予定である。
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Causes of Carryover |
オピオイドの標準試薬に関しては、他財源より購入することで済んだため、研究導入時の消耗品の購入費用が予想していたよりも安価であった。さらに別財源により、質量分析計の購入が可能であったことにより、学内の共同機器の使用料が不要になったことが挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の研究費については、薬物動態解析を重点的に行うため、主にそれに関連した消耗品、情報収集のための学会参加、臨床検査項目の外部検査機関への委託費用および学内共同機器の使用料に対して、研究費を使用する。
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