2016 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍内血管の正常化による新規がん治療戦略:効果に影響を及ぼす腫瘍組織側因子の解析
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15K08072
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大河原 賢一 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (30291470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜垣 和孝 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (60284080)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん治療 / 血管新生 / 抗がん剤 / ドラッグ・デリバリー・システム |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、”腫瘍組織内部でその分泌が過剰となっている血管新生増殖因子(VEGF)によるシグナル伝達を適度に阻害することにより、腫瘍内血管の構造、機能を一部正常な血管へと近づけることが出来る”という「血管正常化説」に基づき、腫瘍内血管の性状かにより、高い腫瘍内薬物送達を達成するという新しいアプローチが注目を集めている。そこで本研究では、抗がん剤パクリタキセル(PTX)内封PEGリポソーム製剤(PL-PTX)の抗腫瘍効果に及ぼす血管新生阻害剤 SU5416 前投与の影響を、複数のがん細胞(B16, LLC)から作成した固形がんモデルマウスを用いて多面的に評価することを目的としている。本年度は、昨年度得られた知見に基づき設定した治療プロトコールを用いて、SU5416 内封 O/W 型エマルション製剤(PE-SU5416)と PL-PTX の併用効果を評価したところ、B16 固形がんモデルマウスにおいては、PE-SU5416 の前投与により PL-PTX の抗腫瘍効果が有意に増強された一方で、LLC 固形がんモデルマウスにおいては、そのような効果は認められなかった。昨年度に得られた結果を考慮すると、B16 腫瘍では PE-SU5416 前投与により、腫瘍組織内血管の構造的、ならびに機能的異常が一部改善された結果、PL-PTX の腫瘍組織への送達効率が上昇し、その抗腫瘍効果の増強に繋がったものと推察された。一方で、LLC では、PE-SU5416 前投与による腫瘍内血管の構造的、機能的異常の改善は認められておらず、今後は両者の差の原因となっている因子の解明を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点での研究の進捗状況が、当初申請書に記載していた研究計画と量・質ともに、概ね同程度であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度、2年目の研究進展がともに順調であったため、特に予定を変更するつもりはなく、当初の計画通りに進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の研究遂行に必要な消耗品費の累計が当初の予算を若干下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の実施費用として繰り越すこととする。
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