2015 Fiscal Year Research-status Report
がん細胞のHDAC阻害剤感受性を規定する分子機構の解明
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15K08075
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
尾崎 恵一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (50252466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 弘資 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (10313230)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | HDAC inhibitor / 抗がん剤 / ERK-MAP kinase |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度における研究では、3T3-Raf-ER細胞というエストラジオール添加によってERK-MAPキナーゼ経路の活性化が誘導できる細胞を使用して、ERK活性化レベルとヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤に対する感受性との相関性、およびその感受性制御に関与する分子について解析した。 3T3-Raf-ER細胞において、ERK経路の活性化が一過性の場合でも程度は小さいものの、ERK経路を持続的に活性化させた場合と同様に、HDAC阻害剤に対する感受性が亢進した。この結果は、ERK経路が一過性に活性化されただけで、HDAC阻害剤感受性が亢進した細胞にスイッチされることを示している。さらに、その感受性変化に関与する分子としてアポトーシス促進因子Bimに注目した。BimはERKによってリン酸化されることが報告されている分子であるが、HDAC阻害剤によって発現誘導されると同時に、ERKの活性化がすでに鎮静化した一過性活性化細胞においても顕著なバンドシフトを示すことが分かり、ERK経路によるHDAC阻害剤感受性の制御を担う分子の一つとして重要な因子となる可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ERK経路によるHDAC阻害剤感受性の制御を担う分子の一つとしてBimを見出すことができたことから、今後の展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ERK経路によるHDAC阻害剤感受性の制御を担う分子の一つとしてBimを見出したことから、そのリン酸化を含めた分子の修飾に注目した解析を行っていく。
2)多くのがん細胞において不活化されている腫瘍抑制遺伝子p53経路とHDAC阻害剤感受性との関連についても研究を進めていく予定。
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