2016 Fiscal Year Research-status Report
麻薬性鎮痛薬の副作用回避を目指した血液脳関門の中枢作用制御機構の解明
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15K08080
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
黄倉 崇 帝京大学, 薬学部, 教授 (80326123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 慧 帝京大学, 薬学部, 助教 (10625304)
出口 芳春 帝京大学, 薬学部, 教授 (40254255)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オピオイド受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
麻薬性鎮痛薬の脳内μオピオイド受容体占有率を測定法の開発のための基礎的検討を行った。まず免疫染色法により標的となるμオピオイド受容体の脳内発現分布を明らかにした。次に蛍光標識ナルトレキソンを用いて脳内μオピオイド受容体の蛍光イメージングを試みたが、市販のμオピオイド受容体の蛍光標識プローブを用いた場合、検出可能な投与量では、μオピオイド受容体に対する十分な特異性が得られなかった。すなわち入手可能な蛍光標識プローブを用いた蛍光顕微鏡観察では、蛍光標識プローブの特異性と現状の蛍光顕微鏡測定感度の問題から、μオピオイド受容体のインビボ蛍光イメージングは困難であることが分かった。そこで質量分析計を用いた高感度分析法によりオピオイド受容体測定を試みることとした。ナルトレキソンをμオピオイド受容体プローブとして用い、ナルトレキソンのLC-MS/MS法による高感度分析計を確立した。この測定系は、マウスにトレーサー量のナルトレキソン投与による脳内ナルトレキソン濃度を測定するのに十分な測定感度を持つことが示された。すなわち、ナルトレキソンをμオピオイド受容体プローブとして用いることで、質量分析計を用いた脳内オピオイド受容体占有率測定が可能となったと考えている。 またオキシコドンを脳内に効率的に輸送するプロトン交換輸送系がオキシコドンに加えてバレニクリンの輸送にもかかわることが示され、その薬効発現に重要な役割を果たすことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
麻薬性鎮痛薬の脳内オピオイド受容体占有を測定法として、当初計画した蛍光イメージング法による測定法開発が困難であったため、受容体占有率の麻薬性鎮痛薬間での比較までは至らなかった。本研究はやや遅れていると判断した。しかし、質量分析法を用いた脳内オピオイド受容体占有測定の基礎的検討ができたため、残りの研究機関で十分に遅れを取り戻せると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
質量分析計を用いた脳内オピオイド受容体占有の測定により、麻薬性鎮痛薬であるオキシコドン、モルヒネ、フェンタニルの受容体占有率を脳部位ごとに測定し、薬物間で比較する。これら3つの麻薬性鎮痛薬がそれぞれ特徴的な脳移行特性を持つことを我々は示しており、脳移行性と受容体占有率の関連を検討する。
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Causes of Carryover |
平成28年度購入予定であった消耗品費が当初予定よりも低予算で済んだため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額(1,780,455円)については消耗品費として使用する予定。
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