2016 Fiscal Year Research-status Report
リン酸化シグナル応答性miRNAを用いた受容体型チロシンキナーゼ阻害薬の効果予測
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15K08083
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
鈴木 俊宏 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (80322527)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | miRNA / RTK阻害薬 / バイオマーカー / リン酸化シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、リン酸化シグナル応答性miRNAを指標とした受容体型チロシンキナーゼ(RTK)阻害剤の効果予測を目的として、RTK阻害剤反応性miRNAの解析を行ってきている。これまでの検討から、ゲフィニチブ耐性肺がん細胞株でmiR-205の発現が高く、それが、リン酸化シグナルによる可能性を明らかにしてきた。昨年度は、レポーター遺伝子発現系による、このmiRNA評価系の構築を行った。 今年度は、このゲフィチニブ耐性細胞株がc-Met過剰発現で耐性を獲得していること。並びに、c-Met阻害剤であるフォレチニブに対して高い感受性を示したことから、フォレチニブに対する反応性とmiRNAの発現について検討を行った。また、miR-205の標的であり、リン酸化シグナルの伝達に寄与しうると考えられるErbB3および、c-Met分子についてsiRNAによる抑制の検討も行った。しかしながら、siRNAによる抑制では残存したシグナルが、下流にシグナルを伝達し、それによって以降のシグナル抑制が認められなかったこと。また、阻害剤については、暴露した時間によっては、一貫した結果が得られなかった。 これらの結果より、miRNAの発現にリン酸化シグナルの状態が関与していることは考えられたが、どのシグナルがmiRNA発現に関与しているか決めることができなかった。 よって、今後は、シグナル伝達に寄与する分子の中でも、より下流にかかわる分子のシグナルと、miRNAの発現を解析することで発現調節機構を明らかにし、それらとRTK阻害薬の薬剤感受性との関係について考察する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フォレチニブを用いた検討から、miRNAの発現変動が若干認められたが、耐性株でのc-METタンパク質の発現が非常に高いことから、リン酸化を完全に抑制することができていなかった。したがって、miRNAの発現とシグナルの関係を明確にすることができなかった。 また、siRNAを用いてc-MetおよびErbB3の抑制を試みたところ、これらRTK分子とmiRNA発現レベルの直接的な相関が認められなかった。そこで、ウエスタンブロットによりシグナル伝達分子のリン酸化状態を確認したところ、抑制しきれていない分子からの残存シグナルにより、下流にシグナルが伝達されたことで先のシグナルは伝達されていた。 これらのことから、阻害効率や阻害時間の検討などに時間を要し、やや遅れる状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はRTK阻害剤による検討に加え、シグナル伝達におけるより下流の分子であるMEK、ERK阻害剤等も含めて検討すること。また、併用による完全な抑制を試みることで、よりmiRNAの発現調節機構に関与するキナーゼシグナルを明確にする。さらには遺伝子抑制と阻害剤の併用も試みることで、同様の結果が得られるか検討を行い、阻害剤によるオフターゲット効果を排除する。 それらにより、miRNAを指標としたキナーゼシグナルの流れを系統別に把握し、RTK阻害剤感受性、特にキナーゼ阻害抗がん剤との関係について明らかにする。
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Causes of Carryover |
購入した癌細胞抑制ライブラリーに不具合があったため、交換の手続きを試みたが、存在すロットすべてが同じ状態でやむを得ず、返金手続きを行ったから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品費に充当する。
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Research Products
(3 results)