2015 Fiscal Year Research-status Report
特殊な患者集団に対する添付文書の記載と情報に関する研究
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15K08089
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
草間 真紀子 東京大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (80313146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 俊介 東京大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40345591)
前田 和哉 東京大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (00345258)
赤沢 学 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (80565135)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 特殊患者集団 / 腎機能障害 / 肝機能障害 / 臨床薬理試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝機能障害者、腎機能障害者、高齢者、小児、妊婦授乳婦、肥満者といった特殊患者集団や薬物間相互作用の臨床薬理試験における薬物体内動態変化の違いおよび添付文書上で注意喚起されるレベルについて調査する研究である。H27年度は、2013年以降に承認された新有効成分含有医薬品に関し、申請資料概要の添付文書案における情報を抽出してデータベースを構築した。肝機能障害、腎機能障害患者について「禁忌」や「慎重投与」の注意喚起のあったのはそれぞれ32、24品目あり、そのうち、薬物体内動態の変化(AUCもしくはクリアランス)について定量的な記載のあったのはそれぞれ21、16品目であった。肝機能障害は、Child-PughのA、B、C群別に記載されていた。腎機能障害は、推定クレアチニンクリアランス別に軽度、中等度、重度、の3区分で分類され記載されていたが、その境界値については、品目ごとに若干ゆらぎはあった。この3区分以外にも末期腎不全や血液透析患者への情報の記載のある品目もあった。同一薬剤内で、肝機能障害と腎機能障害の両方について薬物体内動態の変化の記載のある15品目について、11品目では、添付文書上の注意喚起レベルと体内動態変動の情報とが肝機能障害と陣機能障害とで矛盾のない結果となった。一方で、肝機能障害者、腎機能障害者という特殊患者集団別にみると、「禁忌」や「慎重投与」の判断基準となる薬物体内動態変化には明確な閾値があるともいえず、薬物動態の推定値の利用や、疾患領域や薬理作用等の考慮が示唆された。今後は例数を追加していきたい。また、医薬品の情報と市販後の扱われ方を把握するため、全国の病院を対象に医薬品の採用と適正使用に関するアンケート調査を行ったところ、医療機関での医薬品の採用や評価にあたり、特殊患者集団についての言及は無かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究申請当初には予期してなかったこととして、研究代表者がH27より2年間、国立研究開発法人日本医療研究開発機構に在籍出向している。したがって、申請時の予定よりエフォート率は大幅に低下し、進捗は遅れている。 27年度に予定していた医薬品データベースの構築については、上記理由により、標準手順整備に時間がかかったため、2013年以降に承認された品目でしか完成させることはでなかった。データ収集に関する標準手順をほぼ確定できたので、H28年度は共同研究者・協力者を増やし、場合によっては一部外注することで加速させ、ダブルチェックも含めて完了させたい。また、H29年度の予定を一部前倒しして開始したい。H29年度以降は出向元より戻るため、エフォート率を上げ、遅延分を取り戻すべく努力したい。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1) 「特殊な患者集団」の臨床エビデンスと添付文書記載内容の分析 本研究の根幹となるデータベース策定のための標準手順をほぼ整備できたので、一部の作業の外注も検討しながら、2012年以前に承認されたものに対してもデータベース構築を加速する。日本データを完成させてから米国の情報も追記していきたい。 課題2)「特殊な患者集団」に関する添付文書記載内容の継時的変化とその要因の解析 こちらはH29年度以降に開始予定だったが、研究分担者を増やして前倒しして進めたい。当初の予定では、市販後の添付文書改定を中心に調査することとしていたが、企業が申請時に用いた資料と、実際の承認審査結果の違いも観察するために、課題1)で入手した申請資料中の添付文書案に、市販後の情報を追加するだけでなく、審査報告書記載内容や、医薬品リスク管理計画(RMP)についても情報を収集する予定である。ここで、承認時・市販後の添付文書は類薬の影響を大きく受けると想定されるので、承認年ごとに調査した課題1)と異なり、例えば糖尿病治療薬、といった疾患ごとに情報を収集したい。
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Causes of Carryover |
研究代表者が、H27年4月より日本医療研究開発機構へ異動(在籍出向)となり、本研究課題へのエフォート率が大幅に低下した。これにより、研究の根幹となるデータベース整備のための標準手順書の作成が遅れ、データベース構築が予定より大幅に遅延した。標準手順の確定の後、実際のデータベース構築作業は、一部外注を想定していたため人件費を計上していたが、標準手順整備に時間がかかってしまい、データベース構築のための人件費が使用できず、次年度使用額が生じた。また、日本臨床薬理学会、医療薬学会の年会参加、可能ならば発表を想定して旅費を計上していたが、上記理由により次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度は、データベース構築のための人件費・会議費(10万円)やソフトウェア等の物品費(10万円)、そして結果発表のための学会参加費・交通費(10万円)、論文執筆費・書籍(10万円)に充てたい。(カッコ内はおおよその使用予定金額)
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Organ Impairment-Drug-Drug Interaction Database: A Tool for Evaluating the Impact of Renal or Hepatic Impairment and Pharmacologic Inhibition on the Systemic Exposure of Drugs.2015
Author(s)
CK Yeung, K Yoshida, M Kusama, H Zhang, I Ragueneau-Majlessi, S Argon, L Li, P Chang, CD Le, P Zhao, L Zhang, Y Sugiyama, S-M Huang
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Journal Title
CPT: Pharmacometrics & Systems Pharmacology
Volume: 4
Pages: 489-494
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research