2016 Fiscal Year Research-status Report
循環動態異常を伴う先天性心疾患患児の薬物動態変動機構解明と治療最適化への展開
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15K08091
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田口 雅登 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 准教授 (20324056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市田 蕗子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (30223100)
廣野 恵一 富山大学, 附属病院, 助教 (80456384)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | タダラフィル / シルデナフィル / P-糖タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに、小児・高齢者を対象とする臨床薬物動態研究に取り組んできた。本研究では、先天性心疾患症例の薬物動態変動機構の解明を図るとともに、薬物動態に関する基礎情報を補完するため、in vitro実験等を行う計画である。3年計画のうち2年目となる平成28年度は、肺血管拡張薬タダラフィルのバイオアベイラビリティ変動機構を明らかにする研究プロジェクトの一環として、タダラフィルがP-糖タンパク質の基質となるか否かを検討した。(研究概要は以下の通り) タダラフィルとシルデナフィルは選択的PDE-5阻害剤であり、両薬物ともに体内動態の個体差が極めて大きい事が報告されている。シルデナフィルはP-糖タンパク質の基質であるがタダラフィルが基質であるか否かは不明であった。我々はP-糖タンパク質を強発現させた培養細胞株(LLC-GA5-COL150)の単層膜を用いた薬物輸送特性の評価を試み、シルデナフィルとの膜輸送特性比較、およびP-糖タンパク質阻害剤を用いた阻害実験によってタダラフィルもまたP-糖タンパク質の基質となりうることを明らかにした。一方、タダラフィルはP-糖タンパク質をコードするABCB1のmRNA発現を誘導する事が示唆されており、シルデナフィルとは異なる性質を有すると考えられる。今後、両薬剤の消化管における吸収特性あるいは代謝においてP-糖タンパク質が影響を及ぼすか否かを明らかにするための検証的試験が望まれるところであるが、本研究の成果は臨床における同種同効薬の選択において基礎的な知見を与えるものと考えられる。(Biol. Pharm. Bull. 論文印刷中)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床試験の参加予定症例数が予定見込み数よりも少ないものの、データ解析法を工夫する事で対応する予定である。また、新生児におけるカフェインの動態解析に着手するなど、新たな研究の展開が期待できることからおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
フォンタン手術後の予後不良因子の一つである蛋白漏出性胃腸症(PLE)の患児におけるタダラフィルの体内動態の実態解明をめざし、臨床と基礎の両面から検討を行う予定である。
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